【泌尿器科医・高橋亮 シモの話】前回までは頻尿の原因として、主に前立腺肥大症についての話をしてまいりました。もう一つ、前立腺肥大症と並んで頻尿の大きな原因として「過活動膀胱」という病気があります。

 前立腺は男性にしかありませんが、膀胱は性別に関係なくある臓器ですので、過活動膀胱は女性もかかる可能性があります。なお、男性の場合、膀胱は前立腺のすぐ上にあり、逆に陰茎側からみると陰茎の根元に前立腺はありますので、陰茎と膀胱に挟まれる部分が前立腺になります。下腹部を触ると体の真ん中の下に恥骨という骨が触れると思います。そのすぐ上あたりに膀胱があります。文字で書くと分かりにくいですが、要は尿がたまった時に下腹部を押すと漏れそうになるところにあるのが膀胱です。

 過活動膀胱は、この膀胱が敏感になり過ぎてしまい、大して尿がたまっていないにもかかわらず急に強い尿意をもよおしたり、トイレに間に合わなくて漏らしてしまう病気です。これは手術で治療することはできないため、飲み薬を使うことになります。この飲み薬には「抗コリン剤」というグループの薬が多く用いられますが、一部の抗コリン剤には認知機能を低下させる副作用が出ることがあり注意が必要です。具体的にはオキシブチニンが含まれる薬剤は注意する必要があり、フェソテロジンを含む薬剤は比較的安全とされています。

 ただ、薬の副作用による認知症のような症状は、薬をやめれば回復することが大半です。明らかに薬を飲み始めてから認知機能が低下したということがあれば主治医の先生に相談してみてください。どの薬剤にも言えることですが、自己判断で急に薬をやめてしまうと離脱症状と呼ばれる症状が出ることがあり、処方を受けている先生に相談する必要があります。副作用だけ聞くと怖い薬のように見えますが、正しく使えば安全に効果が出ますので、それほど心配することはありません。

 ☆たかはし・りょう 神奈川県出身。2003年日本医科大学卒業。日本泌尿器科学会指導医・専門医。日本医科大学付属病院嘱託医。ED、早漏、AGAなどをはじめ、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う動坂下泌尿器科クリニック(東京・文京区)院長。