〝タッカーの教訓〟は生かされるのか。ドジャースからFAとなったタリク・スクバル投手(29)の去就を巡り、今季加入したカイル・タッカー外野手の契約が注目を集めている。今夏のトレード期限にタイガースから加入したスクバルは、2024、25年と2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞を獲得した球界屈指の左腕。今季は両球団で12勝7敗、防御率2・72をマークした。残留を狙うドジャースに対し、メッツ、カブス、パドレスも獲得に関心を示し、争奪戦は予断を許さない。

 そんな中、米メディア「SB NATION」運営のドジャース専門サイト「トゥルー・ブルーLA」は契約形態に着目。米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケイティ・ウー記者によると、山本由伸に与えた12年3億2500万ドル(約515億円)の超長期契約ではなく、タッカー型の「短期・超高年俸」で残留交渉に臨む可能性があるという。

 スクバルと同じ29歳のタッカーは今季、ドジャースと4年2億4000万ドル(約380億円)で契約。年平均6000万ドル(約95億円)の破格の待遇に加え、2年目と3年目終了後には契約を破棄できる権利も得た。フリードマン編成最高責任者はチームの競争力を長く保つことを重視。契約年数を抑える代わりに年俸を引き上げれば、将来の巨額契約を抱え続けるリスクを減らせる。

 ただし、ここに〝落とし穴〟も潜む。タッカーは高額報酬に見合う活躍を期待されたものの、移籍1年目の今季は打率2割3分3厘、17本塁打、70打点と不振。ポストシーズンでは打率3割3分3厘と持ち直したが、レギュラーシーズンの物足りなさは拭えなかった。

 スクバルも今季、左ヒジの手術で約6週間離脱し、大学時代のトミー・ジョン手術を含め故障歴がある。来季は30歳シーズンだけに、短期契約でも高額年俸に見合う投球を続けられる保証はない。

 12月1日(同2日)には労使協定の期限も迫る。ドジャースがタッカー型契約で争奪戦を制しても、それだけで大型補強が成功したことにはならない。〝成功例〟となるか〝高値づかみ〟に終わるか。スクバルの決断と来季以降の投球が、球団の補強戦略の是非を左右することになりそうだ。