ボクシングWBA世界ミニマム級王座決定戦(2日、横浜BUNTAI)で同級1位・石井武志(26=大橋)が、同級2位ウィルフレド・メンデス(29=プエルトリコ)に1ラウンド(R)1分5秒TKOで勝利して王座を奪取した。同門の先輩で世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(33=大橋)が持つ世界戦最短KO勝利の日本記録を更新し、試合後に井上から「俺の記録抜いちゃったね」と声をかけられたことを明かした。

 開始早々に左ボディーからの右フックで勝負を決めた石井。エリートが数多く所属する大橋ジムの中で、キックボクサー出身だがアマチュア経験のないたたき上げで世界を取り、指導する元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナーは「才能とかの面では頭一つ落ちるところもあると思うが、努力してきて実った試合は、間近で見ている人間としてはうれしかった」と喜んだ。

 大橋ジムでは6人目の世界王者であり、この王座は大橋秀行会長、八重樫トレーナーも手にした。そして、この日は大橋会長と同じヨネクラジムOBで元世界王者の故ガッツ石松さんのお別れの会が営まれており、大橋会長は「今日はガッツさんが空から降りてきた感じがした。あんなボディーブローで。しかも、井上尚弥の(記録)70秒を5秒縮めて」と、因縁が重なったことを神妙な面持ちで語った。

 石井は最短記録について、「まったく分かっていなかった」という。「リングを降りて尚弥さんにあいさつしに行ったときに、『俺の記録抜いちゃったね』と言われて、すごくうれしかったです」と、大先輩から直接伝えられたことに感激していた。

 今後については未定だが、ほぼダメージのない石井は「すぐにでも練習を始めたい」と意欲十分。大橋会長は「チャンピオンなので強い選手と戦わせたい。チャンピオン同士。体は小さいですけど、複数階級も。これからはそういうのを戦っていかないと注目されない」との考えを示した。