日本相撲協会は来年1月からの優勝賞金や力士の給与・手当などを改定した。幕内優勝賞金が2000万円に倍増するほか、三賞や各段優勝の賞金もアップ。関取の月給や、幕下以下の養成員に場所ごとに支払われる手当も増額される。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、自身の現役時代を振り返りながら「力士の金銭事情」を解説する。
【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 今回のテーマは力士のお財布事情です。お相撲さんが月給をもらえるようになるのは、十両以上の関取になってから。ただ、幕下以下の力士も生活に困ることはありません。相撲部屋には衣食住がそろっているし、国技館の相撲診療所に行けば無料で体をみてもらえる。本場所ごとに手当も支給されます。
私が入門したころの場所手当は序ノ口7万円~幕下15万円。主に携帯電話の使用料やテーピング代などにあてていました。もちろん、新十両に上がって初めて月給(103万6000円=当時)をいただいた時は、すごくうれしかったことを覚えている。今は銀行口座への振り込みですが、当時は手渡し。国技館の事務所まで自分で受け取りに行くんですよ。給料袋を手にして、その厚さに感動しました(笑い)。
幕内になると、懸賞金や三賞を獲得する機会もある。初めて取った懸賞を師匠に渡したり、初三賞の賞金を親に贈ったり。そこで一つの恩返しができたことも、うれしかったですね。ちなみに、懸賞は一番多かった取組で50本ほど、1場所で合計200本近く取ったこともあります。幕内の優勝賞金(1000万円)は、貯金したかな。それなりに税金もかかりますから(笑い)。
一方で、関取になると収入が増える半面、出費も増えます。関取の立場になって初めて部屋の若い衆を食事に連れて行ったら、お会計が数十万円という金額になって驚いた記憶がある(苦笑い)。十両に上がるまでは、当時現役だった師匠の佐渡ヶ嶽親方(関脇琴ノ若)によくごちそうになっていたので、ありがたみが改めて分かりました。
場所入りなどの移動で車を手配すれば当然、費用がかかります。幕内になると、毎年夏に浴衣用の生地で反物を作って、一門や後援者の方々にお配りする習慣もある。私の場合は300反ほど作っていました。
体が資本の仕事なので、自分に対する投資も欠かせません。フィジカルトレーナーやケアトレーナーの方と年間契約したり、治療器具を購入したり。よい器具があると聞けば、買って試したくなる性分だったので、いったい総額でいくら使ったのか分からないぐらいです。
大相撲は、自分の努力次第でチャンスをつかみ取ることができる世界。私が入門した当時も、先代の師匠(元横綱琴桜)から「お金も地位も名誉も、全て土俵に埋まっている。だから、苦しいけど頑張れよ」と言われました。来年から賞金や給与などが増えることは、力士にとって励みになるし、すごく良いことだと思います。
ただ、力士として何よりも大切なことは、日々の鍛錬を重ねて強くなること。その先に夢の世界が広がっている。これから関取を目指す若い力士たちは、その初心を忘れずに頑張ってもらいたいですね。それではまた!














