大相撲秋場所は13日に東京・両国国技館で初日を迎える。今場所は大関復帰を果たした安青錦(2=安治川)が連覇を目指すほか、大関霧島(30=音羽山)は綱取り、関脇熱海富士(23=伊勢ヶ浜)は初の大関取りに挑む。一方で、V逸が続く両横綱が覇権を奪回する可能性は…。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では「秋の陣」の行方を占った。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 秋場所の初日まで、2週間を切りました。7月の名古屋場所を振り返りながら、今場所の行方を占ってみたいと思います。先場所は安青錦が大関復帰と優勝を同時に果たしました。途中で左足を痛めても土俵に立ち続け、最後まで取り切る精神力の強さが光っていた。ケガが順調に回復していれば、今場所も優勝争いの軸になるとみています。

 対抗馬には、熱海富士を強く推したい。新三役から2場所連続で9勝を挙げ、名古屋場所は12勝。決定戦では安青錦に敗れたけれど、本割では倒している。メキメキと力をつけてきた印象です。今回も台風の目になりそうな予感があるし、一気に大関取りを果たす可能性もある。この2人の力士には、共通する強みがあります。

 安青錦は低い重心を保ったまま前に出られるし、熱海富士は大きな体と馬力を生かして前に圧力をかけることができる。やはり、前に出ながら自分の形がつくれる力士は、相撲が崩れにくいんですよ。逆に、さばきながら相撲を取る力士は、その時々で自分や相手の調子に左右されるので浮き沈みがある。秋場所では、再び両力士が賜杯を争う展開になるのでは。

 そしてもう一人、先場所の決定戦に残った霧島も優勝候補からは外せません。足腰の強さや体の柔らかさを生かしながら、自分の形になるまで我慢できる粘り強さが強み。この1年は誰よりも安定した成績を残している。一方で、格下への取りこぼしがあり、攻めが後手に回ると相撲が苦しくなる。立ち合いから先手を取れるかが優勝や綱取りのカギになるでしょう。

 しばらく優勝から遠ざかっている両横綱にも触れておきます。豊昇龍は右ヒザの手術をしたと聞いたので、出場は難しいかもしれません。ここは大の里に引っ張ってもらいたいところですが、先場所の相撲内容には物足りなさを感じました。どこか自信なさげで、横綱まで一気に駆け上がったころのスケールの大きな相撲が鳴りを潜めている印象がある。

 自信を取り戻すには、積極的に出稽古に行くなどして、いろんなタイプの力士と肌を合わせること。そこで相手の圧力を感じておくだけでも、本番で当たった時に対応がしやすくなる。未知の状態でいきなり対戦すると、慌てて後手に回ってしまうんですね。稽古で一人でも多くの力士をつかまえて、自分の感覚に落とし込む作業を重ねれば、本来の相撲を取り戻せるはずです。

 早いもので、今年の東京での本場所は最後。力士たちは悔いなく自分の相撲を取り切って、土俵を大いに盛り上げてもらいたいですね。それではまた!