〝60発男〟が、どん底からよみがえった。マリナーズのカル・ローリー捕手(29)が、シーズン最終盤で猛烈なV字回復を見せている。米メディア「ヤードバーカー」は1日(日本時間同日)の記事で、「最新の記録的な本塁打でエリート選手の仲間入り」とクローズアップ。8月31日(同9月1日)のレッドソックス戦(フェンウェイ・パーク)でローリーは7回に20号ソロを放ち、メジャー最初の6シーズンで5度20本塁打以上を記録した史上2人目の捕手となった。過去に達成したのは殿堂入りしたマイク・ピアッツァ氏だけ。2021年の新人年は2本だったが、22年から5年連続で20発の大台に乗せた。

 何より驚かされるのは、つい3週間前まで本人が自責の念に駆られるほど苦しんでいたことだ。昨季は捕手のシーズン最多記録となる60本塁打、125打点をマークし、ア・リーグMVP投票2位。ところが今季は急失速し、8月11日(同12日)のヤンキース戦後には打率1割5分9厘、12本塁打、43打点。「すべては自分から。僕はひどい」と責任を背負い込んだ。

 そこからの反発力がすさまじい。8月24~30日(同25~31日)は18打数7安打の打率3割8分9厘、5本塁打、6打点、出塁率5割2分2厘、長打率1・278、OPS1・800。24日のフィリーズ戦では自身初の1試合3発を放ち、翌25日(同26日)にかけて4打席連続本塁打のMLBタイ記録も樹立。31日には今季初、自身3度目となるア・リーグ週間MVPに選ばれ、その数時間後に20号を上積みした。

 まさに〝ミラクル・ローリー〟だ。シアトルのファンにとっても、昨季の英雄が完全復活へ向かう姿は沈みがちなチームを照らす希望そのものだろう。

 もっとも、マリナーズは同日のレッドソックス戦に延長10回、8―9でサヨナラ負けし5連敗。64勝74敗でア・リーグ西地区首位アストロズとは6ゲーム差、ワイルドカード最終枠にも5・5ゲーム差と後がない。それでも残り24試合。昨季はア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦まで進んだだけに、2年連続のポストシーズン進出を諦めるにはまだ早い。

 失った輝きを取り戻し始めた主砲の一発が、崖っぷちのマリナーズまでよみがえらせるのか。シアトルの「秋」は、ローリーの復活劇とともに最後の勝負へ入った。