第108回全国高校野球選手権大会(甲子園)もいよいよ大詰めを迎え、20日の準決勝と22日の決勝を残すばかりとなった。聖地で戦った49校のほとんどが姿を消したが、早くも来年へのリベンジに燃えている一校が準々決勝(18日)で夢破れた仙台育英(宮城)だ。
智弁和歌山に18安打の猛攻を浴びせられて敗れた須江航監督(43)は「シンプルに力負け。次にやってやるぞという完敗は気持ちいいくらいですね」とすがすがしく現実を受け止めていたが、その指揮官はナインもほれ込むほど〝選手思い〟なのだという。
甲子園に遠征してきた後、須江監督は3年生の全員とベンチ入りしたメンバーの約40人を引き連れ、神戸在住の知人が貸し切ったバーベキュー場に赴いた。会場には高級な肉や海鮮、野菜が並び、須江監督は率先してトングを手にして部員全員の肉を焼き始めた。
選手からすれば、自分たちが食べる肉を監督に焼かせるわけにはいかない。すぐさま数人の部員が「僕らがやります!」「代わってください!」とお願いしたものの、須江監督は「俺がやる」と制止。「今日はお前たちが主役なんだ。たくさん食べて、試合に臨んでほしい」と〝トング係〟をかたくなに譲らなかったという。
結局、指揮官は肉を焼く手を止めることなく、バーベキューを楽しむ選手たちを笑顔で見守り、3年生部員の一人は「本当に僕たちを思って行動してくださっていてうれしかったです。監督さんは漢(おとこ)です!」と頭が上がらない様子だった。
全国制覇まであと一歩届かなかった。しかし、今夏のチームは2年生を中心としたメンバーで構成された。今年の悔しさと監督への感謝を来年ぶつけられることもできる。別の2年生部員は「選手思いで素晴らしい監督。今度は僕たちが3年生の先輩方のように、監督さんを甲子園に連れていきたい」と目を潤ませていた。8強止まりとなった仙台育英は須江監督とともにもう一度、聖地に舞い戻り、今度は笑顔で凱旋する。












