格闘技イベント「RIZIN.54」(11日、トヨタアリーナ東京)で、秋元強真(20)が前RIZINフェザー級王者のクレベル・コイケ(36=ブラジル)を圧倒し、判定3―0で完勝した。下馬評以上とも言える圧勝だったが、なぜこのような結果となったのか。組み技の練習相手を務め、秋元の〝非常勤講師〟を自称する青木真也(43)が、その勝因を分析した。

 注目のメインは終始、若武者がペースを握った。1ラウンド(R)から大振りな蹴りやパンチを放ちながら距離を取ろうとするクレベルに対し、ジリジリと圧力をかけながら鋭いパンチをヒットさせる。その後テークダウンを狙われたがタックルを切って対処した。

 2Rには強烈な右ジャブを何発もヒットさせて顔面流血に追い込むと、組み付かれても冷静に対応する。最終3Rもグラウンドに引き込みたいクレベルを突き放し、高速の打撃をヒットさせ続けてそのまま試合終了。文句なしの判定3―0で勝利すると、「超(スーパー)RIZIN.5」(9月10日、京セラドーム大阪)でRIZINとPFLの両団体王座をかけて行われるAJ・マッキー(米国)とラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)戦の勝者に宣戦布告。だが、左手を負傷して「折れちゃったっぽい」とも話した。

2R以降は左を使わず、クレベル・コイケ(右)を追い詰めた秋元強真
2R以降は左を使わず、クレベル・コイケ(右)を追い詰めた秋元強真

 この試合運びに青木は「圧勝とか完勝とか、いろいろ言い方はあるだろうけど、今回の試合は〝完封〟だな」と、クレベルの動きを完全に封じた勝利だったと声をしゃがれさせる。勝因を「クレベルの寝技を恐れず、プレッシャーをかけ続けていたよね。組まれてからの不安がないから距離がすごく近かった。自信が勝利につながった。若さゆえかもしれないけどな」と解説。秋元が王座挑戦に名乗りを上げた点に「ちょっとAJには早いかもしれないけど、あの成長速度から言うとできると思う」と太鼓判を押した。

 今回の試合前にも青木は、秋元の組み技と寝技の練習相手を務めた。その際にクレベルが仕掛けてくるであろう攻撃パターンを分析し、その傾向と対策を伝授。「やってくることが全てわかっていて、実際に相手がその範ちゅうから出ることがなかったよね」とメガネを光らせた。

 唯一、想定外な点として「クレベルのガッツは想像以上だった」。テークダウンや組みを全て切られ、打撃を受けても最後まで前に出続けた姿勢に「あのガッツを俺にも分けてほしいよ…」と自嘲しつつ称賛する。

 そして「でも、一番の勝因は、残念だったな、俺だよ。俺が会場に行かなかったからだよ。だって俺が行ってたら、周りとモメて試合に集中できなかっただろうからな!」と高笑いだ。

 続けて我に返ったように「今、自分で言っててセコンドどうしようかな…って思ったよ」と「超RIZIN.5」での朝倉未来戦について思案。「試合に集中できることが大事だからな。そう考えるとこうして話している場合じゃないな」とつぶやくと、一方的に通話を終えるのだった。

RIZIN.54と同日、DDTの両国大会で宮脇純太(左)とKO-Dタッグ王座を獲得した青木真也
RIZIN.54と同日、DDTの両国大会で宮脇純太(左)とKO-Dタッグ王座を獲得した青木真也