小泉進次郎防衛相は4日の閣議で、2026年版「防衛白書」を報告した。白書は、中国の軍事動向を「深刻な懸念事項で、これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置付けた。また、中ロの軍事協力の深化にも強い懸念を示し、同盟国や同志国との連携によって対応すべきだとした。
白書では、中国海軍の遠洋・航空作戦能力の向上について詳しく分析。今年5月末までに、中国海軍の空母「遼寧」は13回、「山東」は9回、太平洋を航行したと紹介している。また、昨年6月には、中国空母2隻が同時に太平洋で活動していることを日本が初めて確認したことにも触れた。台湾海峡情勢については、中国が近年、台湾周辺で頻繁に実施している軍事演習について、「台湾統一を目的とした軍事作戦の一部を想定した演習である可能性がある」と明記。「両岸の緊張がさらに高まる可能性がある」と警戒感を示した。
さらに、中ロ両軍による爆撃機や艦艇の共同パトロールに加え、北朝鮮とロシアが兵器や弾薬の供与、兵士派遣などを通じて中長期的な軍事協力を進めていることにも懸念を表明した。
日本が中国を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置付ける姿勢を改めて鮮明にしたことに、中国は強く反発した。
中国国営の新華社通信は4日、「日本の新版『防衛白書』は軍拡への布石」と題した記事を配信。「防衛白書が周辺国の脅威を誇張し、作戦体系の転換や軍需産業の拡大を強調しているのは、年内に予定される『安保3文書』の改定と軍備拡大を加速させるための布石だ」とする中国専門家の見解を紹介した。中国側は、日本が「中国脅威論」をあおり、それを軍拡の口実にしていると批判している。
中国事情通は「中国側の反発は、国内世論を意識した定型的な外交メッセージという側面が強いでしょう。一方、日本側から見れば、中国空母の太平洋進出や台湾周辺での大規模演習、東シナ海での活動活発化など、安全保障環境がここ数年で大きく変化していることも事実です」と指摘する。日本側は「現実の脅威への対応」と説明する一方、中国側は「日本の軍拡を正当化する口実」と批判する構図になっている。
同事情通は「中国を『これまでにない最大の戦略的挑戦』と位置付けたのは2023年版防衛白書が初めてで、今回の白書はその認識を維持した上で、中国空母の太平洋進出や台湾周辺での軍事演習などをより詳しく盛り込み、中国への警戒感を一段と鮮明にしました。日中の安全保障認識には依然として大きな隔たりがあり、防衛白書をめぐる応酬は今後も両国間の安全保障摩擦を象徴するテーマの一つとなるでしょう」と分析している。
日中の緊張状態は続く――。












