戦う前から負けていたのだろうか。日本代表は、6月29日(日本時間30日)に行われた北中米W杯決勝トーナメント1回戦(米国・ヒューストン)でブラジルに1―2と逆転負けを喫し、優勝という目標に遠く及ばない32強で姿を消した。王国を追い詰めても結局は負け。終盤の失点を防げなかったイレブンは個々の力不足を認めたが、ケガ人続出でベストメンバーを組めなかった側面もある。さらにこの敗戦を踏まえると、選手選考にも一考の余地があったと言わざるを得ない。
ブラジル戦は1―1の後半アディショナルタイムに勝ち越し点を許し、2018年ロシアW杯決勝トーナメント1回戦ベルギー戦での“ロストフの悲劇”を思い起こさせる幕切れとなった。同じ過ちを繰り返さないため、今後はさまざまなアプローチで強化を図る必要がありそうだが、過去最多5回の優勝を誇る王国に大善戦したのも確か。“ベストメンバー”で臨んでいれば、新しい景色が見えていたとの手応えも同時に感じられた。
やはり大きかったのは故障禍だ。昨年12月にMF南野拓実(モナコ)が左膝前十字靱帯断裂の重傷を負い、5月のW杯メンバー発表直前にはエースのMF三笘薫(ブライトン)が左太もも裏を負傷する悲劇。ともに招集を断念した。さらに一度はメンバー入りしたMF遠藤航(リバプール)は、左足負傷の影響でオランダとの1次リーグ初戦直前に離脱した。
これだけでは終わらない。いざ開幕すると、強豪オランダ相手に攻撃をけん引したMF久保建英(レアル・ソシエダード)が同戦で左ヒザを痛め、再びピッチに立つチャンスは訪れなかった。主将のDF板倉滉(アヤックス)も、スウェーデンとの1次リーグ最終戦で左太もも裏を痛め前半で交代。ブラジル戦では攻撃の中心となっていたMF鎌田大地(クリスタルパレス)が後半33分に途中交代となったが、これは右内転筋を痛めたためで「今日勝っていても、次は難しい。もっとやりたかった」と試合後は無念さをにじませた。
これだけ続くと「想定外も想定内」が信条の森保一監督でも、さすがに厳しい。ブラジル戦後の会見で「影響されたところはあるとは思う。そこは事実」と認めた。
ケガ人の発生はコントロールできないが、一方で最悪の事態に備えるための選手選考も必要。特に今回は、遠藤が負傷を抱えたままシーズンを終えており、緊急事態を見据えた備えが果たして適切だったのか検証が必要だろう。たとえば今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)で大活躍し、遠藤と同じポジションからも代役になり得たMF守田英正が招集されていれば結果は変わっていなかったか。
元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏はユーチューブチャンネル「闘莉王TV」で守田について「連れてきたら、もう少しボールをさばけて押し返していたというのも考えられる。中盤の選手が足りなかったと思う」と指摘。かねて本職の守備的MF不足が懸念されていたが、遠藤離脱時にも指揮官は追加招集にFW町野修斗(ボルシアMG)を選択。その町野は大会中に体調を崩し、ブラジル戦で後半途中に初出場したが精彩を欠いた。
大一番は負傷者を含め試合前から敗戦要素を抱えていたと言えそうだ。












