サッカーの北中米W杯で、1次リーグ敗退を喫した韓国代表に対する批判が同国内で過熱している事態が、新たな局面を迎えた。

 韓国では代表チームの低迷に怒りが爆発。特に洪明甫監督に対しては誹謗中傷に加え、襲撃予告まで飛び出して警察が捜査に乗り出す事態に発展した。洪監督は現地で緊急会見を開き辞任を表明し、30日の帰国時には警察が異例の厳戒態勢でガード。一方で韓国サッカー協会のチョン・モンギュ会長には犬のエサが投げつけられ、大騒動となった。

 そうした中、代表チームを管轄する韓国サッカー協会(KFA)に対する〝政府介入〟が物議を醸している。

 まず李在明大統領が自身のSNSで「無能な人を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかだ」と洪監督を名指しで批判する異例の声明を出した。それに呼応する形で、日本のスポーツ庁にあたる文化体育観光部が〝特別監査〟の実施を公表。崔輝永長官がSNSを通じて「大韓サッカー協会の特別監査実施」を正式に発表した。「外部専門家が参加する調査委員会を構成し、協会の運営全般を精査。不正や違法行為が確認されれば、厳重に責任を追及する」との方針を示した。

 これに韓国メディア「OSEN」は「大韓サッカー協会に対する政府の姿勢がますます厳しさを増している。監査にとどまらず、サッカー行政全般を政府が直接管理する方向へと流れていくのではないかという懸念も少なくない」と指摘する。

「政府の対応の度合いはさらに高まった。一部では特別監査にとどまらず、政府がサッカー運営そのものに深く介入するのではないかという懸念も同時に提起されている」と同メディアは警鐘を鳴らす。そして「サッカー協会ではなく、事実上サッカー庁を作ろうとしているのではないか」との批判も出ているという。

 こうした状況に「大韓サッカー協会は民間のスポーツ団体だ。国際サッカー連盟(FIFA)は、政界や政府がサッカー協会の運営に過度に介入することを厳格に禁止している。実際、世界各国の協会では、政府の介入問題をめぐり、FIFAから警告や資格停止の処分を受けた事例も少なくない。特別監査が協会の責任を追及するレベルを超え、人事や選挙、運営全般に至るまで政府が決定する方向へと進む場合、FIFAとの関係においても少なからぬ論争を招く可能性がある」と懸念を寄せた。

 こうした状況に日本のサッカー関係者からも「FIFAは政府介入に対しては、極めて厳しい姿勢で対処する。報道されているようなことが実施されれば、韓国代表は国際大会の出場停止も十分にありえる」と厳罰を危惧する声も出ている。近年もネパールやクウェート、ナイジェリアなどが政治介入により、FIFAから国際試合への出場停止や資格停止の重い処分が下されている。

 しかもFIFAはKFAに対して2024年10月、洪明甫監督の選考過程を巡る議論の中で、文化体育観光部による監査が入ったことで警告文を送付したことが報じられている。今回はその域をはるかに超える介入の度合いであり、いよいよ〝アウト〟になる可能性もあるというわけだ。

 韓国サッカーは復活どころか、代表チームが国際舞台から追放される事態に直面する危険性もありそうだ。