サッカー北中米W杯で6月30日、メキシコ対エクアドル戦が行われ、メキシコが2―0で勝利した。そんななか、メキシコのサポーターによるラテンアメリカで恒例の「セレナータ(現地ではセレナーデの意味)」が問題となっている。今回は開催国での出来事とあって、サポーターの迷惑行動に対し、エクアドルサッカー連盟(FEF)が国際サッカー連盟(FIFA)に抗議。さらにメキシコの有名女優も母国サポーターの行動を非難した。

 ラテンアメリカのサッカー界には数十年前から、ホームチームのサポーターがアウェーチームの宿泊ホテル前で夜通し大騒ぎし、相手選手の睡眠を妨害する「セレナーデ」、もしくは「アンチ・セレナーデ」と呼ばれる悪名高い慣習がある。今大会でもメキシコサポーターが、エクアドル代表が宿泊するホテル前でセレナーデを敢行した。

 6月29日夜、メキシコのサポーターたちは、翌日30日のエクアドル戦を前に、エクアドル代表選手の休息を妨げる目的で、同代表が宿泊するメキシコ市内のウェスティン・サンタフェホテル前に集まった。

 今回は、深夜から未明までチャントを歌い続けた上、車やバイクのクラクションを鳴らし、エンジンを空ぶかしした。太鼓やラッパを鳴らし、花火・爆竹を打ち上げた。

 試合前、エクアドル人記者は、ロイター取材に対し、「エクアドル人にとってはサッカー文化の一部。むしろ選手のモチベーションになるかもしれない」と比較的冷静な見方を示した。とはいえ、さすがにW杯という国同士の試合前に行われたことで物議を醸している。

 FEFは、メキシコ戦前に声明を発表し、このセレナーデに反対する立場を表明。FIFAに抗議を申し立てたと明らかにした。

 声明には「このような行為は、サッカーW杯が体現すべきフェアプレー、公平性、団結という原則から大きく外れている。(中略)FEFは、関係当局に対し、こうした出来事にいっそう注意を払い、選手、テクニカルスタッフ、サポーターの安全を守るために必要な措置を講じるよう、敬意をもって呼びかける」と記されている。

 また、メキシコの女優バルバラ・デ・レヒル(39)は、メキシコサポーターの行動に反対する姿勢を表明。インスタグラムのストーリーズやフェイスブックで、自身の考えを動画で発信した。

 レヒルは「メキシコで私たちがサッカーに注ぐ情熱は大好きです。でも、それが敬意を上回るべきではないと思います。私たちの代表、メキシコを応援したい気持ちは分かります」と指摘。

 そして「私にとって本当の偉大さとは、ピッチの外ではなく、ピッチの中で勝つことです。地元開催国であるなら、その力はスタジアムを満員にし、大きな声で歌い、自分たちのサポーターが世界最高の一つだと示すことにあります。相手から休息を奪う必要はありません。敬意を持って競うことも、私たちの国を代表する一つの形です。エクアドル、あなたたちのことも愛しています」とした。