夏こそオカルト! ということで、オカルト好きの記者は世界屈指のオカルト国としても有名なメキシコへ飛んだ――。早速向かったのは、同国の奥地に存在する、人呼んで“魔女の村”。メキシコは魔術信仰のあつさでも知られており、なんと白魔術と黒魔術が盛んに行われている。中でもこの地は魔術師が多数住み、魔術で生計を立てている。記者はその実態に迫り、魔術を実体験した。メキシコの魅力を3日連続でお送りする。 (協力=メキシコ観光 PASELA)
メキシコの魔術信仰は「本物」だ。深い悩みや病気を患うとシャーマンに相談をして、祈祷やお祓いを受ける。歴代の政治家は「当選したい」、マフィアにいたっては「〇〇を殺したい」など、自身の目標や願望を達成すべく“ガチ”で魔術の力を借りるのだ。
メキシコ市から飛行機で東へ2時間ほどにある港湾都市ベラクルス。そこからさらに車を4時間ほど東に走らせると現れる湖畔の村「カテマコ」。一見、普通の町並みだが、そこには白魔術と黒魔術が存在し、それで生計を立てている魔術師が80人ほど暮らしているという。「魔女の村」と呼ばれているが、意外にも女性魔術師は6人ほどなのだそうだ。
さっそく白魔術師ホアン・カジエゴ・レジェス氏(44)に基本情報を解説してもらった。
①白黒の違い=黒は主に呪い殺すための魔術。白は病気や心の病、また黒魔術で取りついた呪いを解く魔術。普通の願い事にも応じる。
②階級=黒魔術師に階級はないが、白魔術師には4つの階級があり、最高位がヒーラー(神霊治癒師)で、シャーマン(呪術師)→スピリチャー(まじない師)→薬草使いの順。ちなみにレジェス氏はシャーマン。
3月の第1金曜日には魔術師全員による“競技会”があり、そこで白黒のトップになった者は昇格し“優秀な魔術師”として優先的に仕事の依頼を受けられるのだという。
「金持ちになりたい」「モテたい」などの“低俗な”願いも聞いてくれるそうで、記者はずうずうしくも「金持ちに…」と念じ白魔術を受けた。
目を閉じ聖水を吹きかけたレジェス氏は、呪文を唱えながら卵を記者の体に当てていく。
そして頭、首の各所に当てられた瞬間――首筋からスーッと何かが抜ける感覚が。その後、レジェス氏が水の入ったグラスにその卵を割ると、記者の体から取り除かれた「悪い気」を示す“塊”を見せてくれた。頭から肩にかけてスッキリしたのはそのためだったのか。
白のあとは黒。現地ガイドにディープな黒魔術師を紹介してもらうと、こう忠告されるのだった。
「気持ちを強く持たないと、祭壇がある洞窟内にこもる“悪い気”に圧倒されてしまうから気を付けろ」
応じてくれたのは、カテマコ郊外に住む黒魔術師モイセス・ヘルナンデス・グズマン氏。実は彼、白黒の両方を会得しているが、こうした“二刀流”は珍しくないという。
黒の基本情報は――。
①依頼内容=主に男女関係。浮気相手を苦しめたり、別れさせたり。依頼者の男女比率は半々。
②動物の血をなめるような儀式もあるのか=依頼内容による。基本的には「闇の神」の象徴として鶏は使う。血に関してはヤギでも行う。呪い殺すような悪い魔法をかける場合はカエルを用いる。
網の中で暴れる鶏の存在に一抹の不安を抱きながら、洞窟のある山へ。30分ほど険しい道を歩き洞窟にたどり着いた。
洞窟の中に入ると「暗闇の神」ナワールの巨像が。その前には神にささげる葉巻やビール、そして左胸に多くの針が刺さった男性や女性の写真の数々…。「心臓発作で死んでほしい」という呪いだそうだ。
意外なのは、黒魔術でも平和な願い事ができるのだそう。言ってしまえば黒の方が“万能”だそうだ。記者はここでも「金持ちになりたい」と願うことにした。
黒魔術が始まった。呪文を唱えながら、聖水を振りかける。そして、記者の頭上、背中に生温かい感触が。あの鶏だ。
洞窟の中が煙と熱気に包まれる…と、ほどなく記者の右手人さし指と中指がピリピリとしびれ始めたではないか。一体、何が起きているのか。ナワールが体内に入り込んだのか…。
ところが、魔術を終え洞窟の外に出ると、そのしびれはスッと消えた。そして不思議と力を得たような、湧き上がる充実感を覚える。これがナワールから注入された“パワー”なのか。
記者は白魔術と黒魔術のダブル効果で近い将来、大金持ちになるはずだ。そう確信しながらメキシコ市に戻った。
古代文明、UFO、そして魔術――メキシコはオカルトにあふれている。
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