日本ハムの伊藤大海投手(28)の評価が日米球界でうなぎ上りだ。

 26日の西武戦(ベルーナ)に先発したプロ6年目右腕は7回106球を投げ9安打3失点と勝ち星こそ付かなかったものの、すでにリーグ単独トップの8勝をマーク。5月以降は8試合で6勝1敗と抜群の安定感を誇る。試合は9回に3番手・上原がサヨナラ被弾し3―4で敗れた。

 好調の要因を伊藤本人は「真っすぐの強さが戻ってきたことが大きい」と語るが、周囲の評価を高めているのは力強い球威だけではない。大舞台で悔しい経験をしたにも関わらずシーズン序盤から好投を続けている点だ。

 伊藤は開幕前の3月にWBCに出場。日本代表の一員として不慣れなリリーフ登板を強いられた。しかも準々決勝・ベネズエラ戦では相手強打者・アブレイユに逆転3ランを浴びチームが敗れる屈辱も味わった。

 普通であれば肉体的にも精神的にも厳しい状況に置かれ、長期間調子を落としても不思議ではない。だが、伊藤は周囲の不安をよそに開幕戦に予定通り先発。以降はローテーションを守り、沢村賞に輝いた昨季同様のペースで白星を積み上げている。この鋼のメンタルと抜群の安定感に球界関係者の多くは舌を巻いている。

 先日、本拠地・エスコンに視察に訪れていた米スカウトも伊藤の奮闘ぶりをこう評していた。

「WBCに出場した投手はボールの違いやピッチクロックの影響もあり軒並みシーズン出遅れを余儀なくされるもの。試合で打たれたらなおさらです。でも伊藤だけは大会後すぐに自分の投球スタイルを取り戻しましたから。この力があればいつメジャーに来ても活躍できる。実際、彼に興味を持つ球団は数多いですし。WBCではピッチクロックに苦しんだようですが一度慣れてしまえば問題ないと思いますしね」

 伊藤は海外FA権取得まで3年以上を要すが球団は選手の要望があればポスティングによる米移籍を容認している。

 日本だけでなくメジャーでもその名をとどろかせる伊藤は今季どれほどの数字を残し、いつ海を渡るのか。沢村賞右腕の今後に注目が集まる。