【今週は三枝裕介氏】日本銀行は、16日まで行われた金融政策決定会合で、政策金利を従来の0・75%程度から1%程度に引き上げる決定をした。1%の金利水準は約31年ぶりのことだ。

 基本的に金利の引き上げは企業の借り入れコスト増加による利益圧迫要因となるため、株式市場にとってはネガティブ要因だ。一方で、金利上昇が追い風となる業種や企業も存在する。

 たとえば、メガバンクや地銀などは、貸出金利が上昇することで利ザヤ(預金金利と貸出金利の差による利益)の拡大が期待できる。

 東証プライムの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306=3228円)は、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングスなどを抱える日本最大の金融グループ。国内だけでなく、米国では投資銀行業務を展開するモルガン・スタンレーと戦略的資本提携を結んでいる。

 米国でも、インフレを抑制するために利上げ観測が浮上しており、これが現実化すれば、米国での収益拡大も期待できる。

 三菱UFJフィナンシャル・グループは、足元の業績も絶好調で過去最高益を連続更新中。さらに配当を減らさない「累進的配当政策」や「自社株買い」といった株主還元策にも積極的だ。

 にもかかわらず、PBR(株価純資産倍率)は1・64倍、配当利回りは3%程度と割安だ。

 AI(人工知能)や半導体関連株のような派手な値動きは期待できないものの下値不安は小さく、中長期投資で大きなリターンが狙えそうだ。

 利ザヤの拡大が期待できるのは、生損保などの保険セクターも同様だ。東証プライムのMS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725=4616円)は、三井住友海上、あいおい損保、ニッセイ同和が統合して誕生した損保大手。足元の業績は過去最高益を連続更新、配当は14期連続での増配が見込まれている。

 株価は15日に4742円の上場来高値をつけたばかりだが、割高感は皆無。4%近い配当利回りは魅力的だ。

 一方、金利上昇局面では、無借金企業も注目される。東証プライムの信越化学工業(4063=7454円)は、半導体シリコンウエハの世界トップ企業。実質的な無借金経営を続ける超優良企業だ。27年3月期の業績予想は今のところ非開示ながら、直近では外資系証券が目標株価を従来の8300円から9520円に引き上げたばかり。半導体関連銘柄の中では出遅れ感が強く、1万円の大台も狙えそうな銘柄だ。(株価は16日終値、次回は天野秀夫氏です)