【プレイバック1994米国W杯#7】1994年7月17日、ロサンゼルのローズボウルで米国W杯決勝、ブラジル対イタリア戦が行われた。1か月にわたる激闘の最後を飾るこの試合は、米国W杯の問題点を象徴するような環境下でのキックオフとなった。

 試合開始時間は午後12時35分。気温は38度、ピッチ上は40度を超えていただろう。世界最高峰のサッカーの試合を行う環境とは言えなかっただろう。

 米国W杯は酷暑の大会だった。多くが日中の炎天下の試合となり、7月に入ると35度を超える猛暑の中での試合が行われた。こうなった原因は、試合開始時間を欧州のゴールタイムに合わせたからだ。欧州の視聴者を重視したわけだ。

ロマーリオの突破を阻んだマルディーニ(1994年7月17日、米ロサンゼルス)
ロマーリオの突破を阻んだマルディーニ(1994年7月17日、米ロサンゼルス)

 決勝トーナメントに入ると、猛暑の中で試合が続き、メディアでも「この環境で試合をするのは危険」「選手ファーストではない」などと問題視する報道もあったが、今さらスケジュールを変えるわけにもいかず、全ての試合が予定通り行われたのだった。

 それでも選手たちは優勝を目指して気持ちの入ったプレーを見せてくれた。ブラジルはロマーリオ中心の何度か決定的なチャンスを見せ、守勢だったイタリアのロベルト・バッジョも見せ場を作った。しかし、無得点のまま延長線に突入。酷暑の影響からか、イタリアのバッジョやバレージら足がつる選手が続出した。結局、試合はW杯史上初の決勝のPK戦に突入。5人目に蹴ったバッジョが外した瞬間、ブラジルの優勝が決まった。猛烈な暑さの中で素晴らしい熱戦を見せくれたが、決勝にふさわしい、もっとプレーしやすい環境で行われるべきだった、と思う。

ロマーリオの目の前でダイビングセーブするGKパリュウカ(1994年7月17日、ロイター)
ロマーリオの目の前でダイビングセーブするGKパリュウカ(1994年7月17日、ロイター)

 6月11日(日本時間12日)に開幕する北中米W杯では夏の暑さを考慮し、ナイトゲームが中心になる。とはいえ、特に米国の酷暑は32年前を超えるとも予想され、懸念材料のひとつであることは間違いない。