昇格の一報よりも興味深いのは、シカゴに持ち込む空気の質だ。ホワイトソックス専門ポッドキャスト「フューチャーソックス」電子版は25日(日本時間同日)、同日の本拠地ツインズ戦を前にメジャー昇格する見込みのホワイトソックス傘下3Aシャーロット・西田陸浮内野手(25)をクローズアップ。焦点は単なる新戦力の補充にとどまらない。大阪出身の左打者が、再建途上のクラブにどんな「化学反応」をもたらすかだ。

 西田は一般的な有望株像とは少し違う。168センチ、68キロと小柄で、長打力で押し切るタイプではない。今季はマイナー2階級で43試合に出場し、打率3割1分9厘、出塁率4割4分5厘、長打率3割8分1厘、wRC+127。3Aシャーロット昇格後も32試合で打率3割4分2厘、出塁率4割4分9厘、9盗塁と、粘る打席と足で存在感を示してきた。

 球団内での評価も数字だけでは測れない。選手育成部門からは「組織内で最高の野球選手の一人」と称され、良い意味で周囲に影響を与える選手と見られている。本人は野球を仕事ではなく「趣味」と表現する一方、オフには日本人アスリートと指導者をつなぐ事業にも関わる。肩の力が抜けているようで、実は人を巻き込む力がある。そこが西田の最大の個性だ。

 その象徴が村上宗隆内野手(26)との関係である。招待選手として参加した今春のスプリングトレーニングで時間をともにした西田は、村上をホワイトソックスの「キャプテン」と呼び、心酔に近い敬意を示してきた。村上は24日(同25日)現在、打率2割3分5厘、17本塁打、36打点、OPS0・906。1年目から長打で打線の軸となり、再建チームの顔になりつつある。

 同日現在、26勝26敗でア・リーグ中地区2位のホワイトソックスは、首位ガーディアンズを追う立場にある。村上の一発に頼るだけではなく、終盤に出塁し、走り、守り、空気を変える駒も必要だ。西田は内外野をこなせる器用さを持ち、代打、代走、守備固めのいずれでも使える。大阪から米大学球界を経てドラフト指名を受けた異色の道のりも、チームに新鮮な物語を加える。

 村上が長打で試合を動かし、西田が出塁と走塁で揺さぶる。そんな日本人コンビが同じラインアップに並べば、ホワイトソックスの再建は単なる成績上の浮上にとどまらない。シカゴに持ち込まれるのは小兵の昇格ではなく、ベンチ全体を明るくする新しい熱量となりそうだ。