26日に開幕する「日本生命セ・パ交流戦」は、各球団の地力が問われる節目となる。セ・リーグは首位・阪神と2位・ヤクルトが競り合い、3位・巨人も追走。パ・リーグでは西武が首位に立ち、ソフトバンク、日本ハムも上位争いに何とか食い込もうと躍起になっている。混戦模様の前半戦をどう読むべきか。本紙専属評論家の伊原春樹氏が各球団の現在地を総評した。

【新鬼の手帳・伊原春樹】まずは巨人。阿部監督の逮捕という衝撃的な知らせを耳にし、動揺を隠し切れないのは事実だが…。事実関係が全く分からないので、それに関するコメントはこの場では差し控えたい。いずれにせよ、今季は主砲だった岡本(ブルージェイズ)や助っ人左腕のグリフィン(ナショナルズが退団し、正直なところ「優勝は厳しいか」と見ていた。それだけに、ここまでの戦いぶりはよく頑張っている。ただ、野手陣で出遅れている選手が多い印象は拭えない。

 特に昨季大きく伸びた泉口はケガから復帰して以降、打撃のキレが戻り切っていない。昨季は内角の厳しい球も体をうまく回して打ち返し、外角球も逆方向へさばけていた。でも今は、その良さが出ていない。本来なら二軍で再調整させたいところだけど、代わりを任せられる選手が見当たらない。そこが一番痛いところだ。

 その点、阪神は近本の離脱というアクシデントがありながら、ドラフト1位ルーキーの立石が出てきた。交流戦前の最終カード・巨人3連戦でも存在感を示し、24日の3戦目にはプロ初本塁打も放った。選手層という意味で両球団の差は明確に出たし、巨人の3連敗も致し方ない面があったと思う。

 パ・リーグで気になるのは、日本ハムがソフトバンクになかなか勝てない状況だね。巨人と阪神ほど、両チームに力量差があるとは思わない。ただ「紙一重足りなくて勝てない」という負け方が目立つ。特に中継ぎ陣の詰めの甘さは気になる。リードを奪っても要所で制球が乱れ、一番打たれたくない場面で打たれる。そこを改善できない限り、打倒ソフトバンクは簡単ではない。

 加えて、日本ハムでは復帰組として期待された有原が苦しんでいる。有原は以前から「エスコンのマウンドが合わない」と聞いていたので「やはりか」という印象がある。私が西武の監督をしていたころも、現役時代の西口監督がドームのマウンドを苦手にしていた。2002年の日本シリーズでも本当なら巨人との初戦で起用したかったが、相性を考えて見送ったくらいだ。有原の起用法も、エスコン以外を含めて考える必要があるかもしれない。

今春キャンプで野球論を交わした伊原氏と西武・西口監督
今春キャンプで野球論を交わした伊原氏と西武・西口監督

 その西口監督が率いる西武は、投打に勢いがある。投手陣は與座がファームで控えているほど層が厚い。アクシデントがありながらも、抑えにドラフト2位ルーキーの岩城を抜てきした西口監督の相馬眼は、さすがと言うべきだろう。

 打線も、主軸を担う渡部とネビンの存在が大きい。岸、長谷川、西川も力を発揮しているし、新戦力の桑原も戻ればさらに厚みが増す。「売り出し中」の選手が活躍しているチームは総じて上位にいる。このまま成績を維持できるなら、西武が優勝する可能性はかなり高いと思う。

 巨人にしても、ソフトバンクにしても、実績十分のベテランが名前だけで通用する時代ではなくなってきた。交流戦序盤で勢いをつかんだチームは、そのままシーズン終盤まで流れに乗ることが多い。だからこそ「売り出し中」の選手がどれだけ前面に出てくるか。そこが各チームの浮沈を握るカギになりそうだ。
(本紙専属評論家)