崖っぷち男たちの生存競争が虎をさらに強くする――。阪神は14日の巨人戦(甲子園)に3―4で逆転負け。1点リードの8回からモレッタ、岩崎らの救援陣が打ち込まれ、首位の座から陥落した。
相手先発・則本を筆頭としたG投手陣を打ちあぐねたこの日、チーム唯一のマルチ安打となる3打数2安打1打点と気を吐いたのが、前川右京外野手(22)だった。2点ビハインドで迎えた7回一死一、三塁の第3打席では、甘く入ってきた初球を右前へ運んで反撃の口火を切る適時打。若武者の一撃に沸いた打線は連打でつなぎ、この回だけで3得点を挙げた。
前川は入団当初から非凡な打撃センスを高く評価されてきたが、気づけば今季で高卒5年目。レギュラーに定着できそうでできない、もどかしいシーズンを送ってきた。
今季はコンディション不良で春季キャンプに出遅れたこともあり、開幕二軍スタート。昨秋のドラフト1位で3球団が競合した末に大卒で入団してきた立石とは同学年に当たる。その立石らと左翼のポジションを争う立場となっただけに「そこはもう本当に分かっています。1年間を通してやらないといけないので」と自身が置かれた立ち位置に危機感を募らせる。
1、2年前までプロスペクトとして期待をかけられていた選手も、プロの世界では一瞬で追いやられる。特に強豪球団の阪神ではレギュラーのほとんどが固定され、居場所を確保することは容易ではない。「数字を積み上げて信頼してもらえるように頑張りたい」。もはや〝伸びしろ〟を期待され、優先的に起用してもらえる立場ではないことは本人が誰よりも自覚している。
とはいえ、シビアなサバイバルは虎の強さの裏返しでもある。別のセ球団関係者は「前川だけでなく、西勇、梅野らの実績組や門別のような実力のある若手らも、ファームで出番を待っている今の阪神は戦力の層が抜きん出て厚い。長丁場のシーズンでは彼らの存在がモノをいう時期が来るだろう」と警戒感を強めている。
ディフェンディングチャンピオンの強さが本格的に発揮されるのはまだまだ先のようだ。












