2024年パリ五輪陸上女子100メートル障害代表の田中佑美(27=富士通)が本紙の単独インタビューに応じ、さまざまな話題を熱く語った。大学スポーツ全体の活性化を目的に創設された「UNIVAS AWARDS2025―26」の年間表彰式では、表彰式のプレゼンターを務めた。自身も5年前に女子の最優秀賞を受賞。高校、大学での経験を通じ、陸上への思いを深めたハードラーが自身のキャリアにおける進路選択術のポイントを明かし、32年ぶりの日本開催となる9月のアジア大会(愛知)にも意欲を見せた。
――高校3年時には宝塚歌劇団を受験しようと思っていた
田中 宝塚を受験するにはいろいろと下準備が必要で、自分の中で大きかったのは、主治医に健康診断をしていただく必要があったこと。当時は宝塚を好きなことを隠していたので、自分が小さい頃からお世話になっていた主治医に「宝塚を受けたいので健康診断をしてください」と言うことが恥ずかしくてできなかった。その姿を見ていた両親に「その程度の覚悟ならやめなさい」と言われて受験をやめました。
――陸上を続ける上でも悩みがあった
田中 大学4年生の時に陸上は楽しいし、それなりに結果も出ているので、継続を決めたけど、新型コロナウイルス禍だったので、就職活動してみたらなかなかうまくいかなくて…。両親に大切に育ててもらったのに、自分は何も考えず陸上をすると決めたことを反省しました。
――縁があって富士通に入社したが、コロナ禍で価値観に変化が生まれた
田中 自分がやりたいことをできないと苦しい人間であれば、絶対に陸上をした方がいいけど、それよりも「両親に安心してもらえる大人になりたい」や、「安定した給料がもらえる仕事の方が安心する」といったような部分が幸せの価値観だったことに気付いた。何か大きな進路とかを決める時は、最終的にどうなりたいか、自分が幸せに感じる、譲れないところは何か、みたいなところを考えるべきだというのを学びました。
――今季は9月にアジア大会(愛知)が行われる
田中 昨年の世界選手権は自国開催で陸上が注目される絶好の機会だったけど、脚のトラブルで思うように楽しみ切れなかったのが悔いだった。アジア大会も自国開催なので、たくさんの方が会場に足を運んでくださればうれしいし、自分ができるベストなパフォーマンスが披露できる状況であればより良いなと思っています。
――間もなく始まるトラックシーズンの目標は
田中 私の新シーズンの目標はできるだけ速く走ること。冬季トレーニングで改善点をしっかり潰して、できる限りの準備をして、1秒でも速く走りたいと思っています。
☆たなか・ゆみ 1998年12月15日生まれ。大阪府出身。幼少期からクラシックバレエを習い、宝塚歌劇団に憧れを持っていた。中学時代に陸上を始め、高校時代に全国高校総体(インターハイ)で2連覇。全国の舞台で結果を残したことで競技の継続を決断した。2023年アジア大会で銅メダルを獲得し、24年パリ五輪は準決勝に進出。25年日本選手権では悲願の初優勝を果たした。












