勇人よ、最初が勝負だぞ――。本紙専属評論家の伊原春樹氏がプロ20年目シーズンに臨む巨人・坂本勇人内野手(37)に直接、ゲキを飛ばした。昨季は出場62試合で打率2割8厘、わずか32安打に終わった。3000安打まで、残り553安打となった背番号6の「復活のカギ」を探った。
【新鬼の手帳・伊原春樹】フリー打撃を終え、ケージから戻ってきた坂本に開口一番「あと何本だ?」と聞くと「500ちょっとです」と真っすぐに目を見て答えた。常に「3000」の数字が頭にある証拠だろう。
打撃練習を見た限り、体はかなりキレている印象だった。一緒に見守った阿部監督が「オフにだいぶ走ったみたいです」と教えてくれた。
契約最終年となる3年目の指揮官にとっても、坂本の起用法は悩みどころだろう。「不動の4番」岡本が米大リーグ・ブルージェイズに移籍し、打線の中心にポッカリと穴があいた。指揮官からすればとにかく「打ってくれれば使う」。これしかないだろう。
全盛期の坂本だったらクリーンアップを任せられるが、私は「6番」が最適だと思う。中軸に比べて力むことなく、少しは気楽に打てる。阿部監督も「4番は2人の外国人(キャベッジ、ダルベック)のどちらかで考えています」とのことだった。レギュラーでシーズンを完走し、120安打をマークできれば打率も2割台後半になる。それだけ打てれば来季以降にも当然、つながっていくだろう。
定位置確保にはオープン戦で結果を出し、開幕から打ち続けるしかない。いつものスロースタートでは、若手に出番を奪われる立場だ。もちろん誰よりも本人が分かっている。坂本も「出だし勝負です」と目をギラつかせていた。
その目を見て思い出したのが、坂本のルーキーイヤーだった2007年。当時、私は巨人ヘッドコーチ1年目だったが「持っている」選手だった。優勝争いの大一番・中日戦(同年9月6日=ナゴヤドーム)で延長12回二死満塁で代打で出ると、詰まりながらセンター前に落ちる決勝の2点適時打を放った。
劇的なプロ初安打初打点が、翌08年のキャンプでの一軍につながった。開幕戦で二塁スタメンに抜てきされ、その試合で遊撃・二岡が試合中に負傷して長期離脱した。そこから坂本は遊撃のレギュラーに定着したわけだが、そのキッカケは初ヒットにあった。
プロ1年目から4年間の成長ぶりを間近で見させてもらった。決してここで終わるような選手ではない。まずは日本球界で過去7人しかいない、2500安打を通過点としてクリアしてもらいたい。(本紙専属評論家)












