〝新任〟コーチは、正捕手争いのどこに視線を向けているのか。ソフトバンクの細川亨一軍バッテリーコーチ(46)が、鷹捕手陣の〝生存競争〟に強い関心を寄せている。
日本一に輝いたホークスで、今季から一軍首脳陣に加わったのが細川コーチだ。昨季は二軍で若手育成に力を注ぎ、今季から主戦場を一軍へ移した。3日も宮崎春季キャンプでの全体練習後、正捕手候補の一人・渡辺の特守に付き添い、熱心に技術指導を行った。
昨年の宮崎春季キャンプは、正捕手争いが最大の焦点だった。絶対的存在だった甲斐の移籍により競争は激化。シーズンでは海野が105試合に出場し、リーグ連覇と日本一に大きく貢献した。ただし、捕手事情が固まったわけではない。
小久保監督は海野について「まだ正捕手ではない」と明言。キャンプイン前には海野、谷川原、渡辺の3人に対し、細川コーチを通じて「レギュラーは決めてないから」と伝えた。今季も正捕手の座を巡る競争は、横一線からのスタートとなる。
バトルの行方を見つめる細川コーチが重視するのは、技術そのものではない。あえて口にしたキーワードは「蓄え」だった。
「ミスしてほしいなと思います」。
3人はいずれも一軍経験があり、基礎技術は一定水準に達している。その先で必要なのは、試合で力を発揮するための〝引き出し〟を増やすことだという。
「もちろん成功するためにやっているけど(野球は)打者、相手がいるもの。ミスしたら負けるのが野球だし、ミスしても(周りが)カバーしてくれるのも野球。ミスっていう言葉は全部が悪い意味でとらえられがちだけど、いい意味でのミスをしてほしい」
実戦の中で挑戦し、失敗から学ぶことでしか得られないものがある。新任コーチの真意はキャンプ、そしてその先の実戦の場で捕手陣のプレーにどう表れていくのか。正捕手争いは、早くも次の段階へと進み始めている。












