日本レスリング協会の富山英明会長(68)が、日本オリンピック委員会(JOC)前会長で親友の山下泰裕氏(68)の復帰について、胸中を明かした。

 1984年ロサンゼルス五輪柔道無差別級金メダルの山下氏は2023年10月に、家族旅行の最中に頸髄損傷の重傷を負い、手術、リハビリを経て今年9月に退院した。11月下旬から母校の東海大で講義を開始し現場に復帰。18日には会見を行い、「首から上は達者だが、上半身、下半身は全く動かない」などと現状を明かしていた。

車イスに乗り、会見を行った山下泰裕氏
車イスに乗り、会見を行った山下泰裕氏

 富山会長はロス五輪でともに金メダルを獲得して以来、公私にわたって親しかったが、山下氏の負傷後は治療に専念するため、音信不通の状態が続いた。ところが、復帰に向けて山下氏から「会いたい」と連絡があり、ロス五輪のマラソン代表で盟友の瀬古利彦氏とともに病院を訪れたという。

「どういう顔して会うのかなと非常に心配していた。そうして(病室のドアを)開けたら、いつもの山下の顔に戻っていた。『おおっ!! 山下!』と声をかけたよ」と振り返る。その上で「やっと前向きになったのではないか。それまで現実を受け止められないじゃないですか。事故に遭った人は『何で俺が…』となって次のステップまで1年、2年、3年とかかると聞いているし」と、盟友の胸中を思いやる。

 山下氏が現状の姿を公開したことは大きな反響を呼んだ。富山会長は「天下の山下が…だよね。それが自分の伝えるべき使命だと思ったのではないか。そうなった人間でも次の道があるという」と心中を推し量ると「また一緒に飲もうよって言ったよ。何年も一緒にみんなで飲んでいるんで」と話していた。