ヤクルトからポスティングシステムで今オフのMLB挑戦を目指している村上宗隆内野手(25)を巡り、評価が割れる状況が続いている。22日午後5時(日本時間23日午前7時)の交渉期限が迫る中、日本で「令和の三冠王」と称された大砲に対し、ストーブリーグでは契約市場が停滞気味。その背景として、一部で広がったのが「村上は速球に弱い」という見方だった。

 発端となったのは、村上が時速95マイル(約153キロ)以上の速球に対して平均値として打率0割9分5厘だったという数字。しかしインド系の米メディア「スポーツキーダ」によれば、この数字に対してMLBアナリストのピーター・アペル氏が「完全な誤情報だ」と真っ向から反論したという。同氏は「その統計は事実ではない。村上が93マイル(約150キロ)以上の速球に対して極端に打てなかったというデータは存在しない」と断言。誤った数字が独り歩きし、選手像を歪めていると警鐘を鳴らした。

 アペル氏は具体的な根拠として、打球速度(EV)に言及。村上は26歳以下の選手の中で、平均打球速度がMLB全体でもトップクラスに位置し、今季盗塁王にも輝いた俊足巧打のオニール・クルーズ外野手(27=パイレーツ)に次ぐ数値を記録しているという。「生来のパワーと、球場のあらゆる方向に強い打球を放てる能力は本物」と評価した。

 空振り率の懸念についても「やや誇張されている」と指摘。NPB最終年の三振率は26%以下で、大谷翔平投手(31)の渡米直前の日本ハム在籍ラストイヤーとほぼ同水準だと比較した。「球速への適応は時間の問題。むしろシュワバー(フィリーズFA)型の中軸打者として成功する可能性がある」と将来像を描く。

 交渉期限が迫る中で広がる疑念と、それを打ち消す専門家の分析。市場が静かなのは能力への不安というより、評価の整理が追いついていないだけなのかもしれない。村上の真価が問われる局面に差し掛かっている。