阪神の不動のリードオフマン・近本光司外野手(31)が、2年ぶりのセ・リーグ制覇に大きく貢献した。今季も4年連続となる盗塁王、5年連続でベストナインとゴールデン・グラブ賞に輝くなど多くのタイトルを手中にした。中心選手として文句なしの活躍が評価され、オフには5年総額25億円(推定)の大型契約を締結した背番号5には並外れた〝こだわり〟があるようで――。

「骨で打つ」など独特の打撃理論で知られる求道者の大切な趣味は、自らの手で毎朝丁寧に入れるコーヒー。もともとは苦手だったそうだが「あるお店で浅いりのコーヒーを飲んだ時に『これはうまい!』と思って。明るい酸味。フルーティーな果実味のあるコーヒーが好きです」と沼にハマり込んでいった。

「好きなコーヒー豆やブランドは?」と尋ねられても「豆はたとえ同じ農園で栽培されたものでも時期によって全く違うので。一度出会った豆には僕は二度と出会えないし、同じコーヒーにも出会えないと思っているので」と渋すぎる返答。一杯との出会いはまさに一期一会で「全然違いますよ。毎回同じように入れても全然違うので」と、まるで茶道のように目の前のコーヒーと鋭敏に向き合う姿勢が何とも近本らしい。

 試合で打てなかった日の翌朝は「『この豆が打てなくしているんだ』と思うようにして豆を変える」とのルーティンもある。「なので豆の種類がたくさん必要で100グラムずつ、いろいろな種類を買っています」と相好を崩す。

 奥深い趣味だけに、コーヒーの〝ガチ勢〟ともなると、生豆を自ら仕入れ一粒一粒を選別してから、自宅で焙煎する人も多い。近本は「焙煎は…。そこは手をつけたらダメだと思っているんですよ。そこはセーブしています」と神妙な表情で語ったが、超がつくほどの凝り性だけに、こっち方面に手を出すのも時間の問題だろう。

 浅いり派だけに、スターバックスなどのコーヒーショップに入店した際には「イングリッシュブレックファストのティーラテを頼みます」とあえて紅茶をチョイスする。一つひとつへのこだわりの強さがやっぱり近本らしい。