ワールドシリーズでドジャースの前に涙をのんだブルージェイズが、今オフ一気に“台風の目”へと変貌しつつある。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下の米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は、FA右腕ディラン・シース投手(29)の球団史上最高額・7年2億1000万ドル契約を皮切りにブルージェイズが「まだ終わらない超補強」へ踏み出していると報じ、他球団関係者の警戒が高まっているという。

 ブルージェイズは今オフ、最大のテーマを「先発エースの確保」と位置付けていた。FA市場で最も評価の高い右腕シースを射止めたことで最重要課題をクリア。ただ、フロントはそれを「ゴール」ではなく「着火点」とみている節が強い。記事では、関係者が「今冬、ブルージェイズは巨大チームになる可能性を秘めている」と語ったほどだ。

 次に狙うのは、FAとなった看板打者ボー・ビシェット内野手(27)の残留交渉。さらに外野の軸として4度のオールスター出場歴を誇るカイル・タッカー外野手(28=カブスFA)獲得のうわさも絶えない。ジョージ・スプリンガー外野手(36)が契約最終年を迎えるタイミングとも重なり、将来の主軸として最適とみられている。

 一方、ブルペン強化も急務だ。トロントはGM会議でMLBトップクローザーと目されるエドウィン・ディアス投手(31=メッツFA)の代理人サイドとも極秘面会しており、ブルペン最後尾の補強は確実視されている。もしディアス獲得に成功すれば先発プラス救援の両輪が一気に盤石となり〝青の投手王国〟が完成する。

 さらにローテーションも豪華絢爛。シース、ゴーズマン、ビーバー、イェサヴェージ、ベリオスによる2026年の5本柱は、fWAR(米サイト「FanGraphs」によるWAR指標)でメジャー屈指の13.1と予測されている。ドジャース打線を最後まで苦しめた層の厚さが、来季はさらに増すことになる。

 財政面でも勝負に出る。トロントはこれまで「セカンドエプロン(第2段階)」の領域とされる贅沢税ライン(2億8100万ドル)をさらに踏み超え、いわゆる俗称の〝サードエプロン(第3段階)〟に突入したことはないが、今オフは突破も辞さない構え。今季開幕直後にウラディミール・ゲレロ内野手(26)との大型延長契約を締結したにもかかわらず、そのわずか7か月後でもなお資金投入へ動いている。

 文字通り「あと一歩」で届かなかったワールドシリーズ制覇。その悔しさを糧に、ブルージェイズが今オフの主役へ――。MLB全体が視線を注ぐ強烈な〝逆襲モード〟が始まっている。