焼け石に水どころか、火に油を注ぐ補強となるのか。米メディア「ヘビー」は11日(日本時間12日)、ア・リーグ西地区最下位に沈むエンゼルスが、いったん自由契約となったタイフアン・ウォーカー投手(33)と再びマイナー契約を結んだと報じた。ウォーカーは11日(同12日)に傘下3Aソルトレークでダイヤモンドバックス傘下リノ戦のマウンドに戻るという。

 内容自体はマイナー契約。だが、今季も低迷から抜け出せない球団の現状を考えれば、受け止められ方は穏やかではない。エンゼルスはここまで69試合で27勝42敗。ア・リーグ西地区最下位で、プレーオフ戦線どころか、リーグ最低勝率に沈む。投手陣のチーム防御率も4・68でメジャー26位。先発補強が急務とはいえ、すがった相手が「つい先日まで自軍から出ていったベテラン」という構図が、迷走ぶりを際立たせている。

 ウォーカーは2023年にフィリーズと4年総額7200万ドル(約113億円)で契約した実績ある右腕だが、今季は開幕から大乱調。フィリーズでは5試合で1勝4敗、防御率9・13と結果を残せず、4月下旬に戦力外となった。5月下旬にエンゼルスとマイナー契約を結ぶと、ルーキー級と3Aで計11回を投げ、防御率2・45と一定の数字を残したが、今週に入って契約のオプトアウト条項を行使して自由契約に。ところが数日後、再びエンゼルスと契約するという、慌ただしい〝出戻り〟となった。

 この動きに矛先が向くのは、ペリー・ミナシアンGM(46)だ。大谷翔平投手(31)がドジャースへ去った後も、チームは明確な再建にも本格的な勝負にも振り切れず、中途半端な補強を繰り返してきた。今季も勝率3割台に沈みながら、未来を見据えた若手育成より、メジャー復帰を狙うベテランの再獲得に動いたことで、ファンからは「その場しのぎ」との批判が強まっている。

 もちろん、マイナー契約ならリスクは限定的だ。ウォーカーが復調し、先発の穴埋めになれば儲けものという計算も成り立つ。だが、問題はこの一手がチーム全体の停滞感をさらに増幅させていることにある。勝てない。育たない。方針も見えない。その空気の中での再契約だけに、エンゼルスの補強は「苦肉の策」ではなく〝やぶれかぶれ〟に映っても仕方がない。

 大谷とマイク・トラウト外野手(34)を同時に抱えながら勝てなかった球団の傷は深い。そこから抜け出すはずの2026年も、泥沼の景色は変わらない。ウォーカーの再契約は、小さなマイナー補強にすぎないはずが、エンゼルスという球団の現在地をこれ以上なく物語る一手となっている。