東の帝国・ヤンキースが〝財政危機〟を覚悟の上で、FAとなったコディ・ベリンジャー外野手(30)の引き留めに突き進んでいる。米メディア「ピンストライプ・ネーション」によれば、トレント・グリシャム外野手(29)が1年2202万5000ドルのクオリファイング・オファー(QО)を受諾したことにより、すでにラグジュアリー・タックス(ぜいたく税)を科せられるヤンキース内の〝総年俸遊び枠〟は約7000万ドルから4800万ドル前後にまで圧縮したと指摘。それでもブライアン・キャッシュマンGM(58)は「最優先補強案件」として、ベリンジャーの残留方針を一切変えていないという。
ベリンジャーは今季ヤンキースで152試合出場、打率2割7分2厘、29本塁打、98打点と完全復活。2019年のMVP以来と言われるインパクトを残し、外野全ポジションと一塁をこなすユーティリティー性も加わってFA市場での評価はうなぎ登りだ。年平均3000万ドル規模、総額では5~7年で1億4000万~1億7500万ドル級との予想も飛び交い、25年にぜい沢税の課税対象となる3億ドルのラインをわずかに超えているヤンキースにとっては重荷となるのは確実だが、それでも球団内では「外せない案件」と位置付けられている。
同メディアは「誤算だったのは、本来〝流出前提〟と見られていたグリシャムがQОで残留を選んだこと」と指摘する。守備指標は今季中堅で大きく数字を落としながらも年俸2200万ドル超の左打ち外野手を抱えたまま、さらに3000万ドル級のベリンジャーと再契約に至れば、外野にはジャッジ、プロスペクトのドミンゲス、ジョーンズまで控える〝人員過多〟状態となる。それでもフロントは「勝つ」ことを最優先とし、有望株起用のタイミングを計るよりも即戦力の厚みをチョイスしたい構えだ。
交渉のカギを握るのは、言うまでもなくベリンジャーの代理人である「剛腕」スコット・ボラス氏だ。同氏は「ヤンキースは(サラリーを)減らすのではなく、増やそうとしている」とし、ベリンジャーを「ここ3年安定して結果を出し続けるトップクラスの外野手」と高評価。FA市場にはメッツ、ブルージェイズ、古巣ドジャースなども名乗りを上げるが、通算OPS9割超えでヤンキースタジアムとの相性が抜群という〝フィット感〟もあり、現時点ではヤンキース残留が「最有力」とみられている。
問題は、オーナーのハル・スタインブレナー氏がどこまで財布のヒモを緩めるかだ。ぜいたく税の「3億ドルライン」を大きく超えれば、本来補強が必要なブルペンや先発ローテ強化にしわ寄せが及ぶリスクもある。それでもキャッシュマンGMは「財政危機覚悟」でベリンジャー残留へ突き進む構え。ヤンキースが今冬、どれだけ思い切った数字をベリンジャー、そしてボラス氏側に提示できるのか――。ブロンクスの命運を左右する一大決断となりそうだ。












