トランプ米大統領が先月、「核兵器実験」を指示したことを受け、ロシアは5日、北極圏で本格的な核実験を実施する用意があると表明した。核爆発を伴う実験は、米国は1992年、ロシアは1990年を最後に実施していないが、世界は再び核戦争の脅威を味わうことになるのだろうか。

 プーチン大統領は5日、安全保障会議を開催した。アンドレイ・ベロウソフ国防相は、米国が10月にロシアへのミサイル核攻撃演習を実施したと主張。その上で「本格的な核実験の準備を直ちに開始することが賢明だと考えている。北極圏ノバヤゼムリャ島の中央試験場の兵力と施設は準備が整っており、短期間での実施は可能である」と述べた。

 プーチン氏はすぐには承認を与えなかったが、「核兵器の実験準備作業の開始の可能性に関する提案」を求めた。また、「ロシアは包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく義務を常に厳格に遵守しており、今後も遵守し続ける。これらの義務から離脱する予定はない」と話した。

 現在、各国が保有する核弾頭の正確な数は機密事項だが、ロシアは約5459個、米国は約5177個と推定される。3位の中国は約600個だ。世界の核弾頭備蓄量は1986年に7万発以上でピークに達し、そのほとんどをソ連と米国が保有していたが、その後約1万2000発にまで減少した。米ロはお互いに都市を壊滅させるに十分すぎる量を保有しているため、もう実験をストップしたはずだった。

 米国事情通は「トランプ氏の10月30日の核実験再開発言は、ロシアが同月25日に原子力無限射程戦略巡航ミサイル『ブレヴェストニク』、同29日に無人原子力潜水艇『ポセイドン』という、2つの核兵器運搬システムの開発を完了したと発表したことを受けてのことでした。そのロシアの動きも、米国の次世代ミサイル防衛構想『ゴールデン・ドーム』の設計が9月に完了したことを受けてのことです」と語る。

 さらに、ロシアは核実験再開の準備は万全のようだ。

 1961年10月30日、ソ連はノバヤゼムリャ島で史上最大級の原子爆弾「ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)」を実験した。TU―95爆撃機から投下され、爆発の閃光は70秒続き、きのこ雲の高さは67キロメートル、いわゆる〝帽子〟の直径は95キロメートル。その衝撃波は地球を3周し、放射線は無線通信を40分間遮断した。広島原爆の3300倍の威力とみられる。

 ロシア事情通は「数十年、核実験が行われていない間でも、ノバヤゼムリャ島の試験場では非核のサブクリティカル(未臨界)な兵器・軍事装備や特殊品の試験が行われてきました。試験場のインフラは維持・管理されています。核実験となると多少の再整備は必要となるでしょうが、地下核実験ならば、すぐに開始することは十分可能となはずです」と指摘している。

 冷戦の再開どころか、第三次世界大戦の脅威が忍び寄っているのかもしれない。