大相撲九州場所は11月9日、福岡国際センターで初日を迎える。秋場所で横綱初優勝を果たした大の里(25=二所ノ関)が連覇に挑む一方で、決定戦で敗れた横綱豊昇龍(26=立浪)も虎視眈々と巻き返しを狙っている。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、一年納めの場所を展望。優勝争いの行方を占った。
【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 早いもので、一年納めの九州場所の時期がやってきました。今年を振り返ると、1月の初場所で横綱照ノ富士が引退。入れ替わるように、豊昇龍と大の里が新たに横綱となりました。優勝力士の顔触れを見ても、この2人が5場所のうち4場所を制している。両横綱による新時代が始まったと感じています。
今場所の優勝争いは、やはり大の里が中心になるとみています。9月の秋場所は横綱として初めて賜杯を抱きました。今年だけで優勝3回と安定感は群を抜いている。持ち前のスケールの大きさと、馬力で圧倒する相撲は唯一無二。先場所は攻め込まれて引く悪癖も、ほぼ解消されていた。今回も落ち着いて自分の相撲を取ることさえできれば、賜杯に最も近い存在だと思います。
対抗馬は、もちろん豊昇龍です。秋場所千秋楽の本割では、大の里を一方的に押し出して先輩横綱の意地を見せました。ただ、お互いに横綱初優勝がかかった決定戦に敗れ、ライバルに先を越される格好になった。豊昇龍は相当、悔しい思いをしたはずです。もともと負けん気は誰よりも強い力士。これまでにも、悔しさを力に変えて結果を残してきました。
昨年の九州場所千秋楽では、琴桜との相星決戦に敗れて「やり返す!」と感情をあらわにしていましたよね。その言葉通り、次の初場所では優勝と横綱昇進を果たしている。今回も、きっとリベンジに燃えていると思います。幕内上位では大の里を相手に五分以上の戦いができる唯一の存在。格下に星を取りこぼさなければ、賜杯を抱く可能性は高いとみています。
新関脇の安青錦にも優勝のチャンスがある。体の重心が低くて小力(こぢから)が強く、はたかれても崩れない。相手側から見ると、大きな丸太と戦っているような感覚になるのでは。自分の体より下にある丸太をどけようと思っても、なかなかどけられないイメージ。安易に引くことがなく、どんどん前に出てくるので、攻略しづらい力士だと思います。
これまでに一度も負け越しがなく、新入幕から4場所連続で2桁白星と安定感も抜群。新三役で上位の壁にはね返される力士が多いなか、先場所は新小結で11勝を挙げて豊昇龍も倒している。すでに大関の力があると言っていいし、上がるのも時間の問題。両横綱がつまずくようなことがあれば、安青錦が賜杯にたどり着く展開もありそうです。
その他では、20代前半の若い力士にも注目しています。先場所で大の里から金星を挙げた伯桜鵬、2場所前に優勝争いをした草野改め義ノ富士が、横綱や大関を相手にどんな相撲を見せてくれるのか。番狂わせを起こせば、優勝争いが分からなくなると思います。力士たちには一年の締めくくりの場所にふさわしい熱戦を期待したいですね。それではまた!
(随時掲載)












