昨季、自己最多の8勝を挙げて飛躍を遂げた巨人の6年目左腕・井上温大投手(24)が、今季は一転して壁にぶつかった。9月7日の登録抹消以降、約1か月にわたって実戦から離れ、故障班で調整を続けたままチームは終戦した。
今季は自身初の開幕ローテーション入りを果たし、メジャーに移籍した菅野を欠く先発陣の中で戸郷、山崎に次ぐ勝ち頭として期待を一身に背負った。しかし、実際には5月下旬から約3か月間も白星から遠ざかり、最終的に4勝8敗に終わった。
エースとして大車輪の活躍を求められた戸郷も昨季のような完投、完封を重ねる姿は影を潜め、リーグ優勝を逃した一因が先発陣にあったことは否めない。井上も「今季の収穫はないですね…。試合で点差が離れてしまうと気持ちが沈んでしまい、そこで食い止めるのが先発投手なのですが、全然ダメだったなと思います」と反省しきりだった。
9月の抹消後は上半身のコンディション不良により故障班で調整を続けた。先が見えないトンネルの中、心と体の状態を見つめ直す時間を持ったのは、入団2年目に「左肘頭スクリュー挿入手術」を受けて以来で、当時をこう振り返った。
「キャッチボールもできなかったけど、寮で自分と向き合ったり、栄養士さんやトレーナーさんと『ここが弱いからこうしよう』と話す時間が増えた。そのおかげで普段の練習もその目的を考えられるようになった」
黙々と悩むのではなく、支えてくれる人との対話が井上の救いになった。実戦から遠ざかるもどかしさはあったが、体づくりや生活習慣を見直せる貴重な時間でもあった。
井上は「ケガをした時はある意味チャンス。ウエートの数値や食事を見直して、いろんなことに挑戦できる。すごくいい時間が過ごせると思う」と前を向く。再起に向けて静かに力を蓄えている。












