復活できるのか。自民党の高市早苗総裁によって党役員人事が進む一方、総裁選で本命視されていた小泉進次郎農水相の今後を憂う声が上がっている。前回の反省を生かし安全運転に徹したにも関わらず失速したことで、次があるのかと疑問を持たれているのだ。コロンビア大学大学院時代の恩師は「Don’t be afraid to lose(負けるのを恐れるな)」とアドバイス。父・純一郎氏から学べることがあるとした。
4日の総裁選投開票までは多くの永田町関係者が小泉氏の勝利を疑っていなかった。ところが、決選投票では小泉氏の議員票145票に対して高市氏が149票と党員票含めて完敗となった。
1年前の総裁選では選択的夫婦別姓の導入や解雇規制緩和という政策が賛否を呼び、さらに討論会での発言で失速。それだけに今回は党内融和を意識した政策に、〝カンペ〟頼りの安全運転に徹した。代わりに小泉氏らしさは影を潜めた。
永田町関係者は「これだけ勝ちにこだわったのに敗北したのは衝撃が大きい。今後、小泉氏が重要な役職に就くことはあるでしょう。しかし、総裁候補としてまた担がれるかは分かりませんよ」と指摘した。
一体、小泉氏はどうしたら総裁になれるのか。6日、都内の日本外国特派員協会でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏が自民党新総裁が直面する課題をテーマに会見を行った。カーティス氏は日本政治に精通しており、小泉氏にとってはコロンビア大学大学院時代の恩師にあたる。
会見後、学生時代の小泉氏について聞くと、「彼は関東学院を卒業して、あんまり勉強したことがなかった。コロンビアに来て1年間は英語の勉強して、マスターコースに入ったのだけど、彼が『脳が燃える』と言ったように一生懸命やっていましたよ。立派でした」と振り返った。
カーティス氏は中曽根康弘元首相など歴代首相と関係を深めていた。多くの自民党総裁を知るカーティス氏から見て小泉氏が総裁になるために必要なものとは何なのか。
「一番大事なのは〝負けるのを恐れるな〟。彼は当選するためにどうしたらいいかと考えすぎて、それで非常に安全運転したでしょ。彼のお父さん(小泉純一郎氏)に習うべきことは、どうせ自民党の中に反対派がいるから、それを乗り越えるためには国民の支持を得なければならない。そのためにとんでもないことも言う必要があるときもある。だからDon’t be afraid to lose(負けるのを恐れるな)」
父親の純一郎氏は党内でウケがよかったとはいえない郵政民営化を主張し続けた。総裁にはなれたものの、結局、反対されて2005年に郵政解散を断行。党内の反対派に刺客を送るなど小泉劇場を演出し、国民的支持を得て見事に勝った。純一郎氏にとっての郵政民営化にあたるものが小泉氏にも必要ということか。「そういうことなんです」とカーティス氏はうなずく。
小泉氏らしい政策を訴えて、たとえ党内にアンチ小泉が現れても、国民の支持を得て勝ち切るべしというわけだ。
「まず優先順位を決めて、一番自分にとって大事な仕事は何か、それに対して反対があれば、対決してやっていくために国民の支持を得る。そういうことが大事」(同)
〝コメ担当大臣〟を務める小泉氏にとっては農政改革が、郵政民営化のようになるかというと、期待はできない。
「農政はそれほど影響がなかったよね。というのも農家の反対があった。いろんな県で彼女(高市氏)が党員票を取ったのは進次郎に対しての恨みもあったと思いますよ。一生懸命やってましたけどね」(同)
新しい政策が必要になるが、どんなものなのか。「まず国民、特に若い人に希望を与えないといけない。前に彼は100歳まで生きる日本の将来について話していた。あるいは10年先、20年先はこういう日本になってほしいとか。そういう話が今回の総裁選ではなかったから、それは残念」(同)
勝つための安全運転よりも、負けを恐れずこだわりの政策をブチ上げた方がよさそうだ。












