全てを出し尽くした――。陸上の世界選手権8日目(20日、東京・国立競技場)、女子5000メートル決勝が行われ、田中希実(ニューバランス)は15分7秒34で12位。入賞圏内には届かずも、満員の観衆を盛り上げた。

 18日の予選は山本有真(積水化学)とレースを引っ張って決勝にコマを進めたものの、この日は自らの力を試した。「他の人の力を借りないとじゃなくて、実力だってことを説明するには、やっぱり決勝で自分が楽しく、自分らしく走ることだと思った」。終盤まで大集団で進んだレースでは、田中が後方から大まくり。最後はライバル勢のスパートに屈した中でも、メダルも見えた走りを披露した。

 田中の脚には血の跡が複数あった。接触もあった激しい戦いを、強い気持ちで戦い抜いた。「引くんじゃなくって、絶対引かないという気持ちでできた」。ゴールにはフラフラになりながら飛び込んだが「あれはやっぱりまだまだ自分の実力が追いついていないと受け入れるしかなかった。本当に今日の私の等身大の実力は出せた」と納得の表情を浮かべた。

脚には〝戦い〟のあとが…
脚には〝戦い〟のあとが…

 ラスト1周は限界を超えた走りだった。新たな挑戦で2大会連続入賞はならなかった。それでも「なんか重いと思った瞬間、やっぱり(脚が)動かなくなった。どんな瞬間でも疾走している自分を引き出せるようになりたい」と刺激を得た。聖地を駆け抜けた経験をさらなる進化の糧とすることはできるか。