「いい意味で矢野さんと岡田さんのカラーが混ざっているんじゃないですか? 積極性もありながらチームが一つのミスで崩れないように細かいところも見ている」

 セ・リーグ独走Vを果たした阪神で選手会長を務める中野拓夢内野手(29)は、新指揮官の藤川監督をそう描写した。積極果敢な打撃&守備スタイルを矢野元監督に叩き込まれ、入団1年目から遊撃のレギュラーに定着。その後「普通の野球」という言葉に象徴される堅実なプレーを重んじた岡田前監督(現オーナー付顧問)に二塁にコンバートされ、不動の「2番・二塁」としての立ち位置を固めた。

「自分の犠打数がそうですよね。エース級のいいピッチャーが来たら、しっかりバントで送ってつなげるところもある。継投なんかは『ここで代えるんだ』っていうところも。意外とスパッと代えるところを見ると、作戦面では岡田さんに似ている。逆に盗塁や走塁の積極性なんかは、矢野さんに似ているのかなと」

選手会長として胴上げされた阪神・中野拓夢
選手会長として胴上げされた阪神・中野拓夢

 今季は打率2割9分(セ3位)、出塁率3割5分3厘(同3位)と優秀な打撃成績を残す一方で、犠打数も同トップの「41」。昨季はキャリア最低の「6」しかマークできなかった盗塁数も今季はすでに「19」で同4位につける。「打つ、つなぐ、走る」の3ツールをハイレベルに体現する中野もまた、矢野野球と岡田野球のエッセンスを併せ持つ「黄金の虎」のキープレーヤーだ。

 藤本総合コーチは「内野守備のリーダーは中野」とディフェンス面での貢献も称賛。二塁に固定されて3年目を迎えたことでより広くなった守備範囲、確実性を増した球際の強さには、中野本人も手応えを感じているという。データを重視し、対戦打者の打球傾向によっては極端なシフトを敷くこともいとわない〝球児流〟の守備戦術も「これまで抜けていたような打球が捕れるようになった」と好感触だ。

 矢野色、岡田色、藤川色――。中野拓夢というプレーヤーの色彩と魅力も、キャリアを重ねるごとに年々カラフルになっていく。