スキージャンプ女子で2018年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(28=クラレ)が単独インタビューに応じ、26年ミラノ・コルティナ五輪に向けての思いを明かした。昨季は飛型点の採点ルールの変更に苦戦し、W杯の最高成績は4位。それでも冬の祭典で悲願の金メダルを獲得するために、現状の課題を前向きに受け止めている。また、高梨は世界的飲料メーカー「レッドブル」からサポートを受けており、意外な〝F1愛〟を告白。F1レッドブルの角田裕毅(25)へのリスペクトも熱く語った。

 ――男女通じてW杯歴代最多の63勝を誇るが、昨季は初めて表彰台に立てなかった

 高梨 なかなか苦しいシーズンではあった。特に(着地姿勢の)テレマークで採点方法が変わって苦しんだシーズンでもあった。ただ後半にかけて、ずいぶん良くなってきたと思う。

 ――採点ルールの変更に戸惑いもあったのか

 高梨 小さい頃からテレマークを教えてもらってこなかったので、どう(テレマークに)入ったらいいのか今も苦しんでいる。だけど、いろんな選手から入れ方だったり意識の仕方を聞いている中で、どうやったら自分に合ったテレマークが入るのか、見つけてこられてはいると思う。

 ――4度目の五輪出場へ実践していることは

 高梨 自分に合ったものであったり、ルールが毎年変わる競技でもあるのでルールで変わった道具に合ったような、道具と一緒に成長できるようにしないといけない。自分のテクニックもありつつ道具と一緒に成長していく感覚ではある。

 ――2022年北京五輪は混合団体で失格に。どう乗り越えてきたか

 高梨 目の前のことをつなげていくしかないなと思っています。

 ――心の折れそうな時もあったのか

 高梨 そうですね。続けるかどうかを迷った期間はあった。

 ――そこでまた続けようと決断した理由は

 高梨 やっぱり飛んでいる中で、見てくださっている方に「見ていて元気をもらいました」とかそういうお声をいただいて、自分が飛ぶことで意味があるんだったら続けたいと思ったし、少しでもスキージャンプ界に貢献できるなら、やり続けたいと思いました。

 ――ミラノ・コルティナ五輪は集大成になる

 高梨 どこまでいっても積み重ねていくのが大事だと思う。そこまで一日一日を大事に、自分のできることをつなげていきたい。

〝F1愛〟を語る高梨沙羅
〝F1愛〟を語る高梨沙羅

 ――ところで、4月のF1日本グランプリ(GP、鈴鹿)ではサプライズで登場した

 高梨 実際に(会場で)F1を見たのが初めてで、タイヤの焼けるにおいとか会場の音が想像以上だった。会場自体が盛り上がっていて、そんなにF1を知らない人でもすごく楽しめる場だと思った。海外のGPにも、機会があれば見に行ってみたい。

 ――同じレッドブル・アスリートの角田と会話する機会もあったか

 高梨 レース前なので、そんなに会話をすることはなくて「応援しています」と声をかけさせていただいた。レース前にもかかわらず、お会いしてくださったので本当に恐縮すぎる反応でした。(角田は)「来てくれてありがとうございます」みたいな感じでした。

 ――角田から刺激を受ける部分は

 高梨 エンターテイナーですよね。速さを競うスポーツだと思うけど、そこの魅せるところでのプロフェッショナルさであったり、対応がすごい。スキージャンプもそこまで人気にさせるには、いろんな足りないところがあるんだろうなと思いながら見ていた。

 ――スキージャンプの人気底上げへ、F1から参考になる部分は

 高梨 スキージャンプ自体に興味がある人は、なかなかいないと思う。実際に体験もできないし。でもF1も体験できない競技でありながら、あれだけ人気のスポーツになっているのは会場のマネジメントもそうだし、(ムードの良い)会場づくりだと思うので。そういうところを、少しでもまねできたらいいのかな。特に札幌、蔵王でW杯が開催されるけど、参考にさせていただくところは多いと思う。

 ☆たかなし・さら 1996年10月8日生まれ。北海道・上川町出身。小学2年から競技を始め、2011年2月のコンチネンタルカップで国際スキー連盟公認国際ジャンプ大会での女子選手史上最年少優勝を果たした。12―13年シーズンに初めてW杯個人総合優勝。16―17年までに個人総合Vを4度達成。男女を通じて歴代最多のW杯優勝63回、表彰台116回。18年平昌五輪は銅メダル。22年北京五輪はノーマルヒル、混合団体ともに4位。152センチ。