スーツ規定の〝実情〟とは――。スキージャンプ女子で平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(26=クラレ)が、単独インタビューに応じた。2月の北京五輪は混合団体で自身のスーツ規定違反によりメダルを逃すなど、不本意な結果に終わったが、6月に現役続行を表明。新たな一歩を踏み出したジャンパーが、今季から変更されたスーツ測定の現状、SNSとの向き合い方、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への思いなどについて胸中を激白した。
――2022―23年シーズンがスタート。国内外の2戦を終えてジャンプの感触は
高梨 ルール変更(スーツ、スキー板、ブーツの規格改正など)で道具が変わったことやシーズンインが少し遅くなってしまったこともあり、今は自分のジャンプを一からつくり直している最中です。また新しい気持ちで臨んでいきたいと思っています。
――2日のクリンゲンタール大会はスーツ規定違反で失格に終わった
高梨 今回は失格にならないように、事前のスーツチェックをクリンゲンタールに入ってからずっとやっていましたし、試合当日もスーツを作った技術者の方が帯同されていたので、一緒にボディーメジャーメントして「大丈夫だね」という中で失格になった。ちょっとショックを隠せないというか、悔しい気持ちになりましたね。
――今季から身長の測定にレーザー機器が導入された
高梨 レーザー(機器を使用するの)は登録時に身長と股下、腕の長さを計測する1回だけ。試合ではマテリアル(コントロール)でランダムに呼ばれるんですけど、それ(スーツの測定)は普通にメジャーで測るので変わっていないんです。私の場合は腕とヒザが1センチ大きかったと。
――スーツの測定に対する個人的な感想は
高梨 決まった測り方がないので、コロコロ変わっているなという感じではあります。コントローラー(計測者)はいつも一緒で、測り方が変わるんですよね。(北京)オリンピックは特殊な測り方だったし、ワールドカップ(W杯)はまた違う測り方だった。その(測定方法の)認識を(計測者と)スーツを作っている人と合わせないと。
――それが一番の課題か
高梨 そう思います。だってメジャーメントしてピッタリのスーツを作っているので。それで1センチ大きいと言われるのはちょっと…という感じでした。
――北京五輪混合団体も同様の失格を経験している。当時は伊藤有希(土屋ホーム)、小林陵侑(同)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)と臨んで4位だった
高梨(彼らは)一緒に戦ってくれた仲間ですね。オリンピックの後はいろいろ声を掛けていただいたんですけど、もう〝空〟(空っぽ)になっていたので。
――それでも、五輪後のW杯で2勝をマーク
高梨 W杯は与えられたチャンスを全うしないといけないと思っていたので、最後まで走り続けようという気持ちでした。
――ところで、インスタグラムのフォロワー数は30万人以上。SNSとはどのように向き合っているのか
高梨 自分の気持ちを何のフィルターもなく伝えられると思いますし、情報が欲しいと思った時にその人の気持ちをダイレクトに聞けるのもSNSだと思う。使い方によっては凶器になるけど、やっぱり広がりを持たせるのは一番いい方法かなと思います。
――心ないコメントを目にすることもあるのでは
高梨 100人いたら100人の意見があって当たり前だと思いますし、批判的な意見もその人はそうだから、別に否定することはないかなと。
――ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への意識は
高梨 オリンピックでの申し訳ない気持ちだったり悔しい気持ちというのはオリンピックでしか返せないので、やっぱり4年後を見据えていますね。
――同大会では女子ラージヒル(LH)が初めて採用される
高梨 チャンスが多いというのは間違いなく女子ジャンプの発展にとってはいいことだと思いますし、同じ競技でなぜ男子にあって女子にないのかというのはずっと議論されていたので、ようやく増えてうれしいです。
――多くのファンが活躍を楽しみにしている
高梨 やはり自分がこれから何をしていかなきゃいけないかと考えたときに応援してくださる方々に楽しんで見てもらえるのが一番なので、そういうパフォーマンスができるように自分のジャンプスタイルをつくっていきたいです。
☆たかなし・さら 1996年10月8日生まれ。北海道上川町出身。小学2年からジャンプを始め、2011年2月のコンチネンタルカップで国際スキー連盟公認国際ジャンプ大会での女子選手史上最年少優勝を果たす。12―13年シーズンに初めてW杯個人総合優勝。個人総合Vは16―17年までに4度達成。男女を通じて歴代最多のW杯優勝63回、表彰台113回。18年平昌五輪は銅メダル。今年2月の北京五輪はノーマルヒル、混合団体ともに4位だった。152センチ。












