第107回全国高校野球選手権大会の第10日第1試合(15日、甲子園)は、東洋大姫路(兵庫)が花巻東(岩手)を8―4で下し、14年ぶりの3回戦進出を決めた。

 先発した木下(3年)が9回途中まで4失点と粘投すると、打線は6点リードから3点差に迫られた8回にも追加点を挙げ、最後まで主導権を渡さなかった。

 履正社(大阪)監督時代、同校を13度聖地に導いた名将・岡田龍生監督(64)には、今もナインに語り継いでいる試合がある。それは世代屈指の右腕・奥川恭伸(現ヤクルト)を擁した星稜(石川)を5―3で下して優勝した2019年夏の大会。同年春のセンバツ1回戦で奥川に17三振、完封負けを喫しており、見事にリベンジを果たした自慢の一戦だ。

試合後、アルプススタンドへ向かう東洋大姫路・岡田監督
試合後、アルプススタンドへ向かう東洋大姫路・岡田監督

 その時に奥川を攻略した「低めの変化球は捨て、高く入ったボールを振っていく」という決め事を現チームの選手にも徹底している。同試合の映像とポイントを15枚ほどのスライドショーにまとめ、ウエートルームのテレビで上映。もちろん指揮官自らの解説付きだ。打線が落ち込んでいるタイミングで何度も〝上映会〟を開き、選手の一人は「入部してから3、4回は見ている」。新チームが始動してからも、今春のセンバツと夏の県大会前にも行われている。

 特に岡田監督の熱が入るのは、低めのスライダーに対し、打者がバットを止めた時の奥川の表情だ。春と比べた時の打者の変化に「あれ?」と驚いた表情を見せる奥川を指さし「ピッチャーは絶対この表情出すなよ!」と毎回のように力説。別の選手は「岡田先生の言っていることはいつも一言一句、一緒。ちょっと重いかなとは思うんですが…。でも、監督のおっしゃる通りで、その教えを守れば打てると思います」としっかり胸に刻まれている様子だ。

 花巻東の3投手相手に2桁安打を奪った東洋大姫路ナイン。奥川の〝ビックリ顔〟を胸に刻み、深紅の大優勝旗を目指す。