内視鏡検査のためにチューブをのみ込む苦痛がないカプセル内視鏡の問題を解決した自走式カプセル内視鏡検査。どのような検査方法になって、どんな点が進歩しているのか、開発者に聞いた。

当初はカプセル内視鏡にヒレが付いていた
当初はカプセル内視鏡にヒレが付いていた

【内視鏡検査が苦痛なく早く終わる】

 自走式カプセル内視鏡は、大型の電磁石を使った制御装置で検査中にカプセルをコントロールして動かすことができる。制御装置のコントローラーによりカプセルの動く速さや方向を自由に変えて食道、胃、十二指腸、小腸、大腸など主要な消化管を一度に検査できる。

 開発したミュー(滋賀県草津市)の大塚尚武社長によれば、「カプセル内視鏡が撮影した画像は、体外に送信されてリアルタイムで見ることができるので、モニターしながらカプセルを移動させることができます」という。

 駆動時間の制限もない。使う磁場は微弱で、体内の状態を断面像に撮影するMRI検査の磁場に比べても格段に弱く、人体に影響を及ぼさない。

 例えば自走式カプセル内視鏡による胃の検査は次のような手順になる。

 前夜から絶食し、当日は水と一緒にカプセルをのみ込む。胃の中をカプセルが泳ぐように移動し、撮影する形だ。

 被験者はベッドで横になり、医師は撮影画像をリアルタイムで見ながらカプセルを動かして検査する。被験者が苦痛を感じることはほとんどない。胃の検査で所要時間は約15分。検査後、カプセルは便と一緒に排出され使い捨てされる。

 チューブを挿入する従来の内視鏡に比べて被験者と検査者の接触が少なく、またカプセルは使い捨てで使い回し使用されないので感染リスクが抑えられる。制御装置の誤操作により傷つけるリスクがないので将来は技師が代行でき、医師の負担が少なくなる。さらには遠隔操作も可能で、医療過疎地域などでの活躍も期待できる。

【磁気駆動マイクロマシン技術を内視鏡検査に応用】

 自走式カプセル内視鏡を開発した大塚社長は機械工学の研究者だ。磁場で動かすマイクロマシンを研究して血管内などで動くマイクロマシンを開発した後に、その磁気駆動マイクロマシンの技術を患者さんに優しい内視鏡検査のために活用しようと考えたそうだ。

「開発当初はカプセル内視鏡にヒレ付きソケットを装着して体内を自由に移動させる方式を取っていましたが、ヒレなしで磁石を内蔵したカプセルに改良しました。非常に弱い磁力で動き、外部から自由に制御できます」(大塚社長)

 ただし、自走式カプセル内視鏡は技術的にはすでに完成しているが、まだ一般発売には至っていない。医療用の機器であるため、国の承認取得が必要で大きな資金を要するからだ。医療機器承認へと踏み出し、3年後には主要な消化管検査の実用化を目指す段階にある。

 なお、すでに登場している自走式ではないカプセル内視鏡検査は多くの医療施設で受けられるようになっている。検査対象によっても受けられる施設は異なるが、小腸の検査では全国400を超える施設で検査可能とされる。そうした施設では、やがて自走式のカプセル内視鏡検査が受けられるようになる可能性は大いにあるだろう。