内視鏡検査が苦手だという人は少なくない。確かに、検査のためにチューブ状の管をのみ込むのはなかなか大変だ。そこで簡単に検査できるカプセル内視鏡が登場しているが、さらに進んだ自走式のカプセル内視鏡検査が開発された。どこが進歩しているのか、開発者に聞いた。

【胃腸のがんを早期発見する内視鏡検査】

 内視鏡検査は、細長い管を口や肛門などから挿入して食道、胃、十二指腸や大腸などを観察する。先端の小型カメラで体の中の様子をモニターに映し出すことにより、医師が直接リアルタイムに観察できる検査だ。

 特に、がんの早期発見に有効だとされる。食道がんや胃がん、大腸がんは初期には自覚症状がないことも多いが、腹痛や便通異常などの症状があった場合に内視鏡検査を受けると早期発見も可能となる。

 ただ、内視鏡検査の大きな問題は検査時に患者さんの苦痛が大きいことだ。たいていの人はチューブをのみ込むのに苦労する上、検査中や検査後も痛みを感じたりする。さらに、肛門から挿入する場合もあって、それが恥ずかしいと避けたがる患者さんもいる。

「そうした従来の内視鏡検査の問題を解決するのが、私どもの開発した自走式カプセル内視鏡です」と語るのは、医療ベンチャー・ミュー(滋賀県草津市)の大塚尚武社長だ。自走式カプセル内視鏡は、消化管内を自由に移動しながら、患者さんの苦痛なしに検査が可能だという。

 実は、自走式カプセル内視鏡の以前に、カプセル内視鏡という検査方法も登場している。これは、超小型撮像素子を内蔵した錠剤状のカプセル内視鏡を口からのみ込むというものだ。医薬品のカプセルと同程度の大きさなので従来の内視鏡のチューブより格段にのみ込みやすく苦痛がない。

 このカプセル内視鏡はイスラエルで開発され、2001年には米国食品医薬品局(FDA)でも認可されている。すでに世界中で使用されるようになっており、日本でも保険適用になった。日本メーカー製のカプセル内視鏡も登場している。

【のみ込みやすいカプセル式にも問題が】

 しかし、このカプセル内視鏡にも難点があった。大きな問題はカプセルが自分で動かないということにある。カプセルは消化管の蠕動(ぜんどう)運動で動くのだ。

 蠕動とは消化管が食べ物を運ぶための動きで、消化管の壁が狭まったり広がったりを繰り返しながら食べ物を押し進める運動だ。それによってカプセルが消化管内部を移動して検査する仕組みになっている。送信されてくる画像は、医師が診たい箇所を診たい方向から診ることができるとは限らない。

 このため胃は広いので検査できない。また大腸は、移動に時間がかかるので内蔵電池が大腸到着までに消耗してしまう。大腸到着後にスイッチが入る特殊なカプセルも一部用いられているが、がん患者が多い胃や大腸には簡単に用いられないので普及が妨げられている。

 さらには、検査できる臓器が基本的には1つのため、主要消化管を検査するには3~4日も要してしまう問題もあった。

 それらの問題を解決する方法が自走式カプセル内視鏡である。カプセル内視鏡が磁力によって自走するので検査に時間がかからず、医師が診たい箇所をリアルタイムで診ることができるようになったのだ。

 次回後編では、自走式カプセル内視鏡による検査の方法などについて聞く。