第107回全国高校野球選手権大会第2日(6日)の第2試合は野々村直通監督(73)率いる開星(島根)が宮崎商にタイブレークの末、6―5と劇的なサヨナラ勝ちを果たした。コワモテの風貌と歯に衣着せぬ〝野々村節〟が注目されるが、その指導法も独特だ。練習では「グラウンドは戦場だ」「執念を見せろ」「死ぬ気でいけ」「玉砕でいくぞ」と〝特攻精神〟全開の激しいワードが飛び交う。その狙いとは――。

 何度突き放しても追いつかれる展開。継続試合の可能性も出てくる中、5―5で迎えた延長10回、無死満塁から前田(3年)が中犠飛を放って接戦に決着をつけた。

 汗だくで引き揚げてきた野々村監督は「祈る気持ちで見ていた。こういうゲームをできたのは素晴らしい。魂のあるチームと思う」と14年ぶりの勝利をかみ締めた。2回戦の相手となる強豪・仙台育英(宮城)には「大横綱でウチはふんどし担ぎ。もう勝負にならないけども、みんなで一生懸命やってきたんで、すべて力を出し切って、玉砕してくれたらいいと思います」と抱負を語った。

 死ぬ気でぶつかるのは分かるが、まさか「玉砕」とは…。その理由をナインの1人は「(監督から)死ぬ気で、というのはよく言われます。技術面より気持ちのこととか、誰よりも本気で野球に向き合ってくれる。情熱がすごくあって、強い気持ちを入れてくれる。根性野球です。死ぬ気でやる。グラウンドは戦いの場なんで、戦場と思ってやってます。監督からは〝玉砕でも野球で死ぬことはない〟って。だから感謝を忘れてはいけない」と説明した。

 同校グラウンドに「常在戦場」という言葉が掲げられ、監督室には日章旗がはためき、常に戦場にいるような意識を持って物事に取り組む。毎年3月には広島・江田島で合宿し、戦没者慰霊碑を訪問して英霊に手を合わせる。野々村監督の話を聞き「神風特攻隊の方たち、この人たちは日本のために強い気持ちを持って戦ってくれた。その人たちを敬っていかないといけない。その人たちがいたから僕らが野球をできている。自分たちも勝負事なんで勝たないと意味がないです」(別のナイン)と、気持ちを新たに野球に立ち向かえるという。

 戦後80年、開星ナインは野球ができる感謝の思いを胸に大敵に突っ込む。