この男がキングに近づけば、Vロードは明るくなる――。ソフトバンク・山川穂高内野手(33)が29日の日本ハム戦(エスコン)で決勝の16号3ランを放ち、5―2の勝利に貢献。チームは破竹の9連勝を飾り、貯金を大台の「20」とし、今季初となる首位に浮上した。
1―1で迎えた4回、ひと振りで試合を決めた。柳町、近藤の連打で一死一、二塁。5番・山川は真ん中高めに入ってきた初球の変化球を見逃さなかった。打った瞬間に柵越えを確信する一発。試合前、小久保監督は「この3連戦が全てじゃないけど、今日の初戦は大事」と気を引き締めながら一戦必勝を誓っていた。その矢先の豪快弾が持つ価値は、計り知れなかった。
前半戦の山川は大砲の怖さ、勝負強さが鳴りを潜めた。球宴前まで14本塁打、39打点はともにチームダントツだったが、打率は2割1厘。安定感を欠き、2試合連発は一度もなかった。5月には昨季から不動だった4番を外れ、6月にはスタメン落ち。現実を受け入れるしかなかったが、後半戦に入って3戦2発だ。
前半戦最後の西武戦(ベルーナ)の最終打席から「打ち方うんぬんよりも集中すること」を合言葉に迷いを振り切り、兆しをつかんだ。昨季も後半戦の56試合で20発を放った男が本領を発揮し始めた。
これでリーグトップを走るレイエス(日本ハム)と4本差。今季は過去に6人しかいない5度目の本塁打王が絶対目標だ。つまずいてもヘコたれない確固たる自信は、FA加入した昨季の大不振が糧となっている。シーズン序盤に30試合、128打席ノーアーチという苦闘があった。過去に何度も不振を乗り越えてきたが、本人も野球人生で〝最悪〟だったと認めるほどだった。
「きっと今年もうまくいかない時が来ると思うんですけど、あの経験があるから、正直、負ける気がしないんです」(山川)
開幕前にそう言い切った自信は強がりでも何でもない。確かな理論と豊富な引き出しを持ち合わせ、通算268本塁打の怖い大砲が戻ってきた。












