【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(12)】1986年3月、新団体のジャパン女子プロレスに入団し、旗揚げ戦に向けて、練習に精を出した。新日本プロレスの道場で山本小鉄さんの指導を受け、若手選手が相手になってくれることもあった。柔道の癖がなかなか抜けなくて、腕をつかんでしまうことも。相手選手に「つかむんじゃねえ!」てパンチを食らったこともあった。
公開練習では、アントニオ猪木さんにも指導を受けた。有名な「風車の理論」も教わった。逆らわず、すべてのものを風車のように受け入れる。相手の力を最大限に生かし逆転する。風車は風が強いほどよく回転し、受け、はね返していくという。猪木さんは大きかったし、組んだ時のオーラが全然違った。体全体から出てくる強さね。柔道でも腕相撲でも、強い人間は組んだ瞬間に分かる。あの感覚だよ。
しばらくすると、オーディションを経て入団が決まった新人選手を指導する側に回った。実はさ、ジャパン女子には4人だけしか格闘技やプロレスの経験者がいなかったんだ。ジャッキー佐藤さんは全日本女子プロレスのスター選手でビューティ・ペアとして活躍。一度引退してカムバックしてきた。ナンシー久美さんもジャッキーさんと同じように復帰された。あとはシュートボクシング出身の風間ルミと柔道の自分だけ。「四天王」とか呼ばれたな。当時の練習は、受け身を取って関節の取り方からだったけど、そういった動きは新人選手にいきなり「やれ」と言っても難しかったんだ。だからコーチの役回りも付いてきた。
のちにLLPWをともに旗揚げする風間とは最初そんなに仲も良くはなかった。いつもケンカばっかりしていた気がするんだよ。「お前なんて窓から捨ててやるぞ!」って怒っては風間が泣いていたな。
86年8月17日、後楽園ホールで旗揚げ戦が行われた。2800人の超満員。でも観客の反応にはどこか冷めたものがあったかもしれない。女子プロレスファンに反感を買うようなことを言ってしまったしね。会場には、少女隊や本田美奈子さんといった芸能人も来ていた。アントニオ猪木さんも来場した。
デビュー戦の相手はジャッキーさん。いきなりメインイベントで対戦した。結果は24分36秒、バックドロップからエビ固めで負けた。この試合が評判が良くて、批評家からは「ベストバウト」という声も上がるくらいだった。そのころの女子プロレスは髪をつかんで、感情的に「ギャー」って戦う試合が多かったんだ。でも自分とジャッキーさんの試合は、男子みたいなストロングスタイル。関節技を得意としている選手は今までにない存在だったかもしれない。
でも、いろいろと問題も出てきたんだ。













