米国内で隆盛を誇る「スポーツベッティング」に対してMLBの現役投手から警鐘が鳴らされた。

 23日、「ニューヨークポスト」紙は「ルーカス・ジオリトがスポーツ賭博での脅迫についてロブ・マンフレッドに語る『ひどいことがたくさんあった』」との記事を配信した。

「レッドソックスのルーカス・ジオリト投手(31)は、スポーツ賭博ブームに伴う選手の安全について懸念を示し、その懸念を野球界の最高責任者であるMLBコミッショナーのロブ・マンフレッドに直接訴えた」という。

 21日にポッドキャスト番組「Baseball Isn‘t Boring」に出演した同投手は、フィリーズ―レッドソックス戦を観戦に訪れたマンフレッドと直接話したことを明かした。その際、「スポーツ賭博の増加に伴って少し心配していたこと、つまりソーシャルメディアなどで存在するアクセスについて彼に尋ねた」と振り返った。

「選手が好成績を残せなかった時の脅迫――家族への脅迫、命を脅かされるなど――は本当に疲れます。リーグに新しく入ったばかりで、そういう状況に備えていない選手たちのことを心配しています」とジオリトは語った。

 2019年に球宴にも出場したジオリトは肘の手術のため24年シーズンは不出場。今季は新天地で最初のシーズンを迎えており、浮き沈みの激しいシーズンを送っている。試合での成績がばらついていること、さらには好成績を残している試合もあることから、三振数などの予想を外れてお金を失った賭け手たちから嫌悪の声が上がっているという。

「ギャンブルに関しては、明らかにネット上で正気を失っている人が増えている」とジオリトは語り、自身の恋人でさえ、怒った賭博師たちからネット上で「ひどい言葉をたくさん浴びせられている」と付け加えた。

「試合後には毎回メッセージが届くんです。たとえ好投した試合でも、三振が多過ぎたとか。何百ドルも賭ける人がいる。大金持ちじゃないのに、病気だからって賭けるんです。みんなパニックになるんです」

 マンフレッドはMLBが賭博の対象となることを望んでいたわけではないという。昨年、「われわれは、最終的に最高裁まで持ち込まれた訴訟の原告として、合法化されたスポーツ賭博に引きずり込まれたようなものだ」と彼は全米でのスポーツ賭博合法化につながった18年の訴訟に言及して語っている。

 そのうえで「合法化の利点の一つは、違法な事業の場合よりも、何が起こっているかを監視するのがはるかに簡単だということを私は認識しています」とマンフレッドは付け加えた。ジオリトはマンフレッドと話すのは楽しかったとし、「直接会って質問できるのは良いことだ」と語った。

 スポーツ賭博への懸念を表明したMLB選手は、ジオリト選手だけではない。アストロズのランス・マッカラーズ・ジュニア投手は、5月に7失点を喫した試合後、家族が殺害予告を受けた。

「人々がとても情熱的で、アストロズやスポーツを愛していることは理解しているが、子供たちを探し出して殺すと脅されるのは、少し対処しづらい」と31歳の右腕は語った。後にその脅迫は「海外在住者」からのものだと判明した。

 MLBではSNSを避ける選手も増えているという。ジオリトは、問題を認めるだけでは十分ではないと考えている。「これでは限界がある。賭けに負けた不満を抱えた男が、選手のアパートの前で暴行を加えるような事態になって初めて、本当に行動を起こすのだろうか?」と問題提起した。