2025年6月3日に亡くなった長嶋茂雄氏を偲び、同氏の第2次巨人監督時代を振り返った連載「ハダカの長嶋巨人」。常に話題の中心にいた「ミスター」を取り巻く人たちを含めた群像劇を、当時の東スポ巨人担当記者がつづります。

【ハダカの長嶋巨人#30・シェーン・マックの巻】

 モスビー、バーフィールド、グラッデン、コトー、ガルベス、マリオ、マント…。第2次長嶋巨人では「優良助っ人」たちばかりではなく「お騒がせ助っ人」や「ダメ助っ人」たちのほうが多かったような気もするが、その中でもバリバリのメジャーリーガーとして注目を集めたのがシェーン・マックだった。

 年俸は当時としては破格の4億円。MLBのストライキもあって来日が実現したわけだが…。マックと言えば思い出されるのが、いつもあやしく黒光りしていたツルツルのスキンヘッドだ。

バリバリのメジャーリーガーとして注目を集めたマック(1995年2月、宮崎)
バリバリのメジャーリーガーとして注目を集めたマック(1995年2月、宮崎)

 元メジャーリーガーと言ってもえらぶる態度を見せることもなく、寡黙で真面目なタイプだったから、大きなトラブルを起こすこともなかったが、たった一度「あれはどうにかならないのか」と、自慢の頭にクレームがついた事件があった。

 スイングすればスルリ、走ればポロリ…と、とにかくヘルメットが脱げるのだ。とりわけ一塁ベースに駆け込む際、あまりにも脱げるものだから、ある試合で審判団から「危険だからちゃんとヘルメットをかぶってほしい」と注意された。そして、それに対するマックの言い分が驚くべきものだったのだ。

「オレは頭にオリーブオイルを塗っているんだ。ヘルメットが脱げてしまうのは仕方がないだろ」

 野球選手がなぜ頭にオリーブオイルを? まったくワケがわからない。そこで当時巨人の渉外担当だったリチャード・背古氏に理由を聞くことにした。

「ボディービルが趣味のマックは、筋肉の陰影をつけるためにオリーブオイルを体に塗っているのです。もちろん頭にも塗って、毎日磨いているんですよ」

 なるほど、いつも黒光りしていたのはそういうわけか…。というよりは「何じゃそりゃ!?」というのが率直な感想だった。現役時代の長嶋さんが、わざとヘルメットを浅くかぶって三振した時にヘルメットが吹っ飛ぶ絵作りを意識していたり、現役時代の堀内さんが「投球時に帽子がずれたほうがカッコいいから」と、わざとサイズの大きな帽子をかぶっていた話は聞いてはいたものの、スキンヘッドにオリーブオイルとは想像もしていなかっただけに、かなりの衝撃が走ったことを今でもよく覚えている。

 それでも優良助っ人には違いなかったが、年俸が高すぎたのと弱肩という問題があったため、わずか2年でチームを去った。最近の巨人ではマックほどの超大物助っ人は獲得していないが、そろそろG党がワクワクするようなビッグネームを連れてきてもらいたいものだ。