2025年6月3日に亡くなった長嶋茂雄氏を偲び、同氏の第2次巨人監督時代を振り返った連載「ハダカの長嶋巨人」。常に話題の中心にいた「ミスター」を取り巻く人たちを含めた群像劇を、当時の東スポ巨人担当記者がつづります。
【ハダカの長嶋巨人#22・松井秀喜の巻】
プロ野球界で例年1月の話題といえば、自主トレが中心。中でも注目されるのが、各球団のルーキーたちによる新人合同自主トレの様子だ。
期待の新戦力はどれぐらいやれるのか。球団のみならず、ファンにとっても期待に胸を膨らませているところだろうが、そこでお決まりの話題となるのが入寮のシーン。巨人でいえば旧選手寮時代、松井秀喜の「素振り部屋」を新人たちが見学し、擦り切れた畳を見て「すげえ!」となるのが定番だった。
そんな松井の選手寮の話で思い出すのがあの事件だ。1996年、松井がジャイアンツ寮から退寮することが決まり、空き部屋となった松井の部屋に「次は誰が入るのか?」となったのだが、当時の若手選手たちがこぞって拒否。その理由に挙げられた「あいつの部屋はイカ臭そう」「掃除もロクにしてないんじゃないか」などという疑惑に、温厚な松井が珍しく激怒した事件のことだ。
感情的になった松井の反論はこうだった。
「ボクはタバコも吸わないし、部屋はいつもキレイにしているつもり。そりゃあ休みの日はたまに部屋でこいてましたけど、ボクの部屋は断じてイカ臭くはありません!」
そんな松井の言い分をそのまんま記事にしたのだが、当時のデスクからは「これホントに書いていいのか?」と念押しされたことを今もよく覚えている。「こく」という言葉がコメントとして記事になったプロ野球選手など、かつていなかっただろう。
当時は「松井の怒りの感情をストレートに表現するには、これが一番!」と思ったのだが…。今にして思えば、伏せ字にするなど、もう少し配慮が必要だったかもしれない。後に国民栄誉賞を授けられる偉大な男に、なんて記事を書いてしまったのか。この場を借りて謝りたい。松井、ごめんよ…。













