ソフトバンク・川瀬晃内野手(27)が14日のDeNA戦(みずほペイペイ)で、またもチームの窮地を救った。

 アクシデントは5回の攻撃、二死二塁で今宮健太内野手(33)の第3打席に発生した。3球目を強振した今宮が不自然に体勢を崩しながら空振り。痛みに強く、弱みを見せない男は何食わぬ顔で打席に戻った。だが、5球目をファウルにした後、トレーナーに付き添われてベンチ裏へ。内野の要にして精神的支柱も担う背番号6は、そのまま無念の途中交代となった。

「今宮さんのことは僕が一番知ってるので…」。それ以上は語らなかったが、異変が重大であることを誰よりも先に察知できていた。今宮が3球目を空振りした後、地面に落ちたバットを拾い上げる前に川瀬は防具を手にベンチ裏へ。首脳陣と目が合う前に、動いていた。

 カウント2―2から代打で緊急出場。1球ボールを挟んで、フルカウントから大貫のフォークを三塁線へ弾き返した。点差を2点に広げる貴重なタイムリー。試合後、小久保監督は「今日は川瀬に尽きる」としみじみと語り、激賞した。

 鷹が誇る「スーパーサブ」の最大の強みは、想像力の豊かさだろう。ゆえに、首脳陣も仲間も深い話ができる。危機管理能力の高さ、戦術理解度の高さがチームの有事を救う。今宮の状態、戦況…すべてを把握し、可能な限りの準備を整える。有事に一番最初に名前を呼ばれる男は、その場数を重ねて〝ここ一番の仕事〟の精度を日々高めてきた。

 大仕事の後、トレーナールームに向かった川瀬。治療中の今宮に「やったよ!」と声をかけ、握りこぶしをつくったという。今宮の胸中を誰よりもおもんぱかっていたに違いない。

 今季も振り返れば、5月2日のロッテ戦でサヨナラ打を放ち、連敗を「5」で止めたのも川瀬。後に小久保監督が「晃のサヨナラがなかったら、優勝戦線からはみ出ていたかもしれない」と語ったゲームだった。チームが苦しい時、勇ましさを失った時、希望をもたらす背番号0の活躍が際立っている。