「徐(しず)かなること林の如く」とは武田信玄が軍旗に掲げた風林火山の一節。戦闘以外の場面では冷静かつ慎重な行動を求めたものだが、石丸伸二氏が立ち上げた地域政党「再生の道」は東京都議選(13日告示、22日投開票)を控え、大きな動きを見せていない。そんな石丸氏に対して「私が代表になるつもりで」とのろしを上げたのは3児を育てるキャリアウーマンだった。
都議選では全42選挙区で280人超が立候補に向けた準備を進めている。過去最大の激戦となりそうな背景には、石丸氏の「再生の道」が35選挙区に42人を擁立したことがある。
党の政策は、都議任期の上限を2期8年とすることのみ。他党や一部メディアは疑問視するが、世田谷区に同党公認で出馬予定の鳥海彩氏(37)は「“終わり”が決まっている方が熱量を持って仕事ができる。これは官民問わずです」と歓迎する。
鳥海氏のキャリアはカメレオンのように複雑だ。慶応大卒業後、東海テレビ報道リポーターを経てフリーアナに。その後は気象予報士の資格を取得し、シンクタンク職員、現在は楽天グループの社員として地域創生に関わる事業に携わっている。結婚前の2015年には東スポWEBで「中島彩の3か月婚活大作戦」(※中島は旧姓)を連載し、宣言通りにゴールイン。子宝に恵まれ現在は3児の母となっている。
「3人産んでいる私が断言します。これから間違いなく日本の人口は減少します。人口減少社会の中で、住民の利便性を確保するためには自治体でもDX推進が必要なんです。石丸さんが『政治力ではなく“仕事ができる人”を募集する』と言っていてまさに私のことじゃないかと思って手を挙げました。まずは都議として都政を是正して、40代前半で首長になることを目指しています」
鳥海氏はとてつもない熱量で話し、地域を駆け回るが、代表の石丸氏が出馬しない「再生の道」が都議選で台風の目となるかは未知数だ。
石丸氏は日本大学危機管理学部・西田亮介教授との対談本「日本再生の道」(幻冬舎新書)の中で「選挙本番の6月まで話題作りはいくらでもできますので、どんどん仕掛けていきます」と述べていたが、今のところはユーチューブにはほぼ最終選考動画しか出ていない。チャンネル登録者数は10・7万人で、都知事選の石丸旋風のようなムーブメントが起きているとは言いがたい。
「正直もっと石丸さんがエンカレッジ(=勇気づける)してくれると思っていた公認候補はいると思います。でも、ないなら自分でやればいい。自分の政策を打ち出して、私が『再生の道』の代表になるつもりで頑張ります」(鳥海氏)
認知度を上げるべく、自身もYouTubeやTikTokなどショート動画を存分に活用。気象予報士らしく天気を伝えながらの朝立ちを行ったり、働くママの朝のルーティン動画を公開したり積極的に活動する鳥海氏は「熱量こそ私のギフテッド。世田谷区の皆さんに訴えかけていきたい」と腕をぶした。
世田谷区は定数8。現職6人と鳥海氏を含む新人12人の計18人による激戦が予想されている。元TBSの高野貴裕アナウンサーも都民ファーストの会から出馬予定で“元アナ対決”としても注目される。













