ブルージェイズの地元紙トロント・サン(電子版)は2日(日本時間3日)にドジャースの大谷翔平投手(30)とブルージェイズが2023年オフにフロリダ州ダンイーデンの球団施設で行ったFA交渉の詳細を報じた。
記事はMLB公式サイトでブルージェイズ担当のキーガン・マセソン記者が執筆した「The Franchise:TorontoBluejays:A Curated History of the Jays」に基づいているという。それにしても交渉から約1年半後にこういう事実を明かすという事は、ブルージェイズにとって〝逃がした魚〟は大きすぎたということだ。
それによると、大谷と代理人のネズ・バレロ氏、通訳の水原一平氏(当時)はフロリダに飛び、球団の最新鋭のトレーニング施設を視察し、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督、ロス・アトキンスGM、マーク・シャピロ球団社長、エドワード・ロジャースオーナーと面会した。
大谷側がFA交渉を秘密にしてほしいと希望したため、その日は65エーカーの施設全体が選手や関係者に対して完全に閉鎖された。マセソン氏によれば、球団は選手とスタッフに対し「『ロジャースのオーナー会議』が開かれているため、その日は球場を離れる必要があると伝えた」という。
球団幹部らはスイートルームで待機。シュナイダー監督は当時の様子をマセソン氏に「建物内には誰もいませんでした。がらんとしていました。まるで大統領が来るみたいだったよ。マジで」と明かしている。
球団幹部と大谷との会談は、誰の目にも非常にうまくいったように映ったが、会談終盤にブルージェイズに勝利の可能性について楽観的な見方を抱かせるような光景が広がった。
球団はスター選手にチームと契約した場合に何が期待できるかを示すため、チームのクラブハウスにユニホーム、用具、帽子、バッグ、アクセサリーを揃えたロッカーを3つ設置した。大谷はロッカーに入っていた品物を家に持ち帰るために梱包したと伝えられている。
「大谷はブルージェイズの帽子をかぶってクラブハウスから出てきた。水原氏も同じくチームのユニホームを身につけていた。二人は出発前に立ち止まって一緒に写真を撮ったりもした。大谷選手の愛犬デコイも、球団が買ってあげたカナダ製の犬用ジャケットを着て参加した」
マセソン氏によると、「球団は大谷がグッズを持って帰るとは予想しておらず、ロッカーの模型を見せればスター選手にとっていいセールスポイントになるだろうと考えた」という。それだけに大谷と契約できる可能性について良い感触を抱いたのは当然だろう。
もちろん、ブルージェイズにとってこの物語はハッピーエンドではなかった。2023年12月、大谷はドジャースとの契約を選択した。10年総額7億ドルの契約は当時、野球選手が結んだ史上最高額となった。ドジャースでの最初の年でワールドシリーズのタイトルに導き、レギュラーシーズン中に50本のホームランを打ち、50個の盗塁を決めた初の選手となってナ・リーグMVPも受賞した。
ブルージェイズは昨年、74勝88敗でア・リーグ東地区最下位に沈んだ。今年は1日(同2日)時点で31勝28敗で地区2位だが首位のヤンキースとは5・5ゲームと大差を付けられている。大谷と契約出来ていれば、状況は違ったと考えるのは当然だろう。












