フィリピン・マカティ市の道路脇の下水道から白昼堂々、女性が這い出てきた写真が先日、インスタグラムにアップされ、フィリピン社会に衝撃を与えた。下水道で生活していることが分かり、フィリピン社会福祉開発省(DSWD)は、女性が故郷に戻ってサリサリストア(雑貨店)を開くという夢を実現できるよう、8万ペソ(約20万5000円)の生活支援金を支給する決定をした。フィリピン紙マニラ・ブレティンが先日報じた。

 ウイリアム・ロバーツさんは、マカティ市の道路脇の下水道から、長髪の女性がゆっくりと這い出てくる場面を目撃した。衝撃を受け、インスタグラムに写真を投稿した。

 ホラー映画「リング」シリーズで、井戸から這い出てくる貞子を思わせる場面だった。フィリピンのSNSでは「フィリピン版貞子」として騒がれたが、真相は悲痛なものだった。

ウイリアム・ロバーツさんのインスタグラム@iammrthirtyから
ウイリアム・ロバーツさんのインスタグラム@iammrthirtyから

 フィリピン警察が現場を捜査し、女性が下水道に残した布や鋼鉄などの品物を発見した。そして、DSWDは先日、この女性はローズという名前のホームレスであり、長期間下水道で暮らしていた可能性があると発表した。

 DSWDのレックス・ガチャリアン長官は5月29日、ローズさんと面会し、容体を確認するとともに、政府の支援について話し合った。ローズさんはパートナーとともに、廃品を回収して販売し、路上生活していた。風雨を避ける時だけ、下水道で暮らしていたという。

 ローズさんは、故郷でサリサリストアを開くという夢を持っている。DSWDは支援金として、8万ペソを支給すると発表した。

 ガチャリアン氏は「ローズさんに対する私たちの介入は、彼女が店を持つという夢を実現できるよう支援することです。ソーシャルワーカーの評価によると、彼女にはその夢を実現できる能力があります。彼女のパートナーであるジェロームさんも溶接のスキルを持っているので、研修のために私たちに紹介される予定です。収入の安定を図るため、溶接機の購入を支援する可能性もあります」と語る。

 また、DSWDはローズさんを〝社会福祉大使〟に任命した。フィリピンでは、地域の社会福祉部門がホームレスをシェルターに収容したり、故郷に送り返したりすることがあるが、多くのホームレスはこれを〝逮捕〟ととらえ、社会福祉部門との接触を避けることが多い。ホームレスの中には、路上で物乞いをすればもっと稼げると信じている人もいる。そのため、DSWDは、ローズさんの存在を通じて、ホームレス支援を充実させたいという。

 ガチャリアン氏は「ローズさんは、路上で暮らす他の人々にシェルターに来て支援を受けるよう説得する手助けをしてくれるだろう」と話している。