鷹のプライドをかけたエース育成の行方は――。ソフトバンク期待の2年目・前田悠伍投手(19)が前半戦中の一軍昇格を視野に入れながら、着実に成長曲線を描いている。16日は二軍・くふうハヤテ戦(タマスタ筑後)に先発。降雨ノーゲームとなったが、4回まで無失点という内容だった。

 2023年のドラフト1位で、文字通り鷹のトッププロスペクトだ。今季は春季キャンプを主力中心のA組で完走。開幕ローテーション争いこそ早々に脱落したが、ここまで二軍戦5試合に登板して防御率2・45と安定したパフォーマンスを披露している。

 倉野信次チーフ投手コーチ(50)は、二軍で奮闘する有望株にこんな声をかけていた。「6月、7月を目標にしてくれ」。その上で向上心あふれる19歳に明確なメッセージを添えた。「今度ローテに選ばれたら、その先ずっと一軍のローテを守るくらいの力をつけてくれ。そのための目先の結果ではなく、しっかりローテで回っていけるだけの実力をつけてほしい」。

 4月中旬からは1か月間、あえて実戦から遠ざかった。「しっかりトレーニングする期間を設けたかったというのが理由」(倉野コーチ)。今月7日の二軍・広島戦では自己最速タイの148キロを計測した。「大きくなったの分かりますか? 体重は2キロ増えました」(前田悠)。肉体強化と、より下半身を意識した体の使い方の成果を実感。「瞬間的ではなく、継続性が大事。そのことを常に頭に入れてやっています」と目先の結果ではなく一軍戦力にふさわしい安定感を求めて、目の前の一球を無駄にせず投げ込んでいる。

 高校野球の超名門・大阪桐蔭の絶対エースで、U18日本代表の大黒柱として世界一に輝いた逸材。「鷹のエース」となるべく本人の気概も十分で、素材に申し分はない。次世代のエースと4番は自前でそろえる――。4軍制を敷いて育成球団としての自負があるホークスとしても、預かった金の卵を大成させる使命感があるはずだ。

 大きな期待を背負った19歳左腕が地に足をつけ、一軍マウンドへ駆け上がろうとしている。